2007 Fiscal Year Annual Research Report
好熱性細菌由来タンパク質を基盤分子に用いた高耐久性人工酵素の創成
Project/Area Number |
18560753
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
中島 洋 Nagoya University, 大学院・理学研究科, 准教授 (00283151)
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Keywords | チトクロムc552 / ミオグロビン / 好熱菌 / 機能性タンパク質 / ヘムタンパク質 / Thermus thermophirus / ペルオキシダーゼ |
Research Abstract |
好熱菌由来タンパク質チトクロムc552への新たな機能の賦与を目指した。当初の計画では、ヘムを有機金属錯体(ロジウムPhebox錯体)へと置換する予定であったが、この置換反応は難しく現在も実現に向けた諸策を検討中である。一方、ヘムの中心金属である鉄を他の金属イオンに置換することには成功しており、亜鉛並びコバルトに置換した金属置換チトクロムc_<552>を得た。このうち、亜鉛置換チトクロムc_<552>(ZnCyt c_<552>)を自己集合膜で修飾した電極に固定したところ、ZnCyt c_<552>の電子吸収スペクトルに対応した光電流を得ることができ、10 Hz程度の光のON・OFFに対し、良好な電流応答特性が得られた。作成した電極モジュールは、水溶液の広い温度域で高い安定性と耐久性を示し、タンパク質本来の性質が、モジュール化後も保たれることが分かった。その後、ZnCyt c_<552>の分子全体を対象とする全軌道計算を行ったところ、亜鉛ポルフィリン部位の光励起によるタンパク質内の電子の流れがアミノ酸残基レベルで推定可能となり、電子の経路に当たるアミノ酸残基に変異導入を行うことで、光電流が抑制されることが分かった。この結果を利用すれば、光電流に整流特性を持たせることも可能であり、今後本系を利用したタンパク質フォトダイオードを作成する予定である。なお、本研究の成果は、アメリカ化学会誌のJACSに近々掲載される予定である。
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