2006 Fiscal Year Annual Research Report
ラジカルによるタンパク質構造変化を利用した新規抗酸化性評価法
Project/Area Number |
18560754
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kobe College |
Principal Investigator |
寺嶋 正明 神戸女学院大学, 人間科学部, 教授 (30172092)
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Keywords | 抗酸化性 / 評価法 / 食品機能性 / タンパク質 / 構造変化 / レーダーチャート / ヒドロキシラジカル / 次亜塩素酸ラジカル |
Research Abstract |
本研究では食品成分の抗酸化性を迅速かつ定量的に評価するために、ミオグロビンの吸光度変化に注目した。ミオグロビン溶液に次亜塩素酸ラジカル、もしくはヒドロキシラジカルを添加するとミオグロビンの立体構造が変化し、409nmにおける吸光度が直ちに著しく減少する。研究代表者は、その溶液中に抗酸化性を示す物質が存在すると、吸光度変化が抗酸化性の強さに応じて抑えられる現象を見出した。抗酸化性物質が存在する場合と存在しない場合の吸光度変化の違いから、ミオグロビン保護率を算出し、その値によって抗酸化性を評価する新規な抗酸化性評価法を考案し、検討した。その結果、カルノシン、Trolox、グルタチオン、ビタミンC、フェルラ酸などの標準的な抗酸化性物質に対して、その濃度に応じて定量的に抗酸化性をミオグロビン保護率であらわすことができた。 次に、食品成分が示す抗酸化性の特徴を合理的、かつ総合的に評価する方法を検討した。本研究で提案した次亜塩素酸ラジカルに対するミオグロビン保護率、ヒドロキシラジカルに対するミオグロビン保護率に従来法であるDPPH法による抗酸化性評価を合わせて、3軸のレーダーチャートで抗酸化性を評価する方法を考案した。この方法により、カルノシンは次亜塩素酸に対しては強い抗酸化性を示すが、DPPHラジカルとヒドロキシラジカルに対してはほとんど抗酸化性を示さないこと、Troloxは3つのラジカルに対してバランスよく抗酸化性を示すことなどが明らかとなった。本方法を用いて、カツオ肉を人工胃液で消化したサンプルが示す抗酸化性をレーダーチャートにして標準物質と比較検討したところ、カルノシンの示すレーダーチャートと類似していることが明らかとなった。この結果はカツオ肉を消化して得られるペプチド断片はカルノシンの示す抗酸化性と類似の機能を示すことを示唆しており、今後の検討が注目される。
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