2007 Fiscal Year Annual Research Report
周辺プラズマ中のCxHy系炭化水素分子の輸送シミュレーション解析手法の開発・研究
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18560794
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Research Institution | National Institute for Fusion Science |
Principal Investigator |
庄司 主 National Institute for Fusion Science, 大型ヘリカル研究部, 助教 (00280602)
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Keywords | ダイバータ / 周辺プラズマ / 中性粒子輸送シミュレーション / 炭化水素分子 / 大型ヘリカル装置 / カメラ計測 |
Research Abstract |
本年度は、3次元中性粒子輸送シミュレーションコード(ETRENE2004)に炭化水素分子の各種原子分子過程を取り込んで、LHDの周辺・ダイバータプラズマ領域における炭化水素分子起源の発光分布を計算できるようにするとともに、その計算結果をダイバータ監視カメラによって計測された炭化水素分子起源の発光分布と解析結果と比較することを目的とした。 炭化水素分子の各種原始分子過程の種類の総数は約500と非常に多いことから、これらの過程を取り込んだ中性粒子輸送シミュレーションを効率的に実施するためには、中性粒子輸送シミュレーションコード全面的に並列化して、計算時間の大幅な短縮が必要不可欠であること考えられた。そこで、このソースコード内部を詳細に調査したところ、コードの並列計算実行部分にバグ(誤り)があることが判明した。そこで、専門のプログラマーにデバッグ作業をしていただくとともに、コードの並列化を実施していただいた。これら二つの作業によって、核融合科学研究所のLHD数値解析システム(SX-8)上においてEIRENEコードを並列化された状態で実行できるようになり、効率的な中性粒子輸送シミュレーションによる解析が初めて可能となった。 第一段階として、一つの炭素原子を持つ炭化水素(メタン)の各種原始分子過程を考慮した既存のデータベースを輸送コードに取り込んで、LHD周辺プラズマ領域の各種炭化水素分子の密度分布の計算を行った。その結果、炭化水素分子はダイバータレッ部周辺部に局在化することが分かり、監視カメラによる炭化水素分子起源の発光領域の計測結果と矛盾しないことを確認できた。この研究成果を基にして、近日中に2つ以上の炭素原子を持つ炭化水素分子の各種原始分子過程を取り込んだ状態でシミュレーションを行うことによって、コードの更なる精密化を実施するとともに、ダイバータタイルヘの熱負荷の低減シナリオを探求する計画である。
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