2007 Fiscal Year Annual Research Report
放射線・超音波による「イオン‐固相」相互変換反応の解明
Project/Area Number |
18560800
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
関根 勉 Tohoku University, 高等教育開発推進センター, 教授 (20154651)
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Keywords | 放射線 / 超音波 / 酸化還元 / ナノ粒子 / テクネチウム |
Research Abstract |
本研究では放射線や超音波を利用した金属イオンの固化あるいは溶解について、長寿命核分裂生成核種のひとつであるテクネチウムについて調べた。水溶液中で最も安定な化学種である過テクネチウム酸イオンを含む水溶液にガンマ線を照射するとテクネチウムの還元反応が起こり酸化テクネチウム(IV)のナノ粒子が生成した。水の放射線分解により生成する水和電子やHラジカルがテクネチウムを還元する初期反応として重要であることをつきとめ、そのメカニズムを解明することができた。一方、放射線効果と似たような影響を及ぼすとされる超音波照射では過デクネチウム酸イオンの還元は全く起こらないことがわかった。逆に酸化テクネチウム(IV)水和物のコロイド分散溶液を超音波処理すると、瞬く間にテクネチウムが酸化され、過テクネチウム酸イオンが定量的に生成する現象を発見した。この酸化反応は水の分解で生成するOHラジカルが関与していることをつきとめた。また、この酸化速度は共存する気体の性質に左右され、希ガスであるヘリウムとアルゴンについて比較したところ、アルゴンガス中に於ける速度はヘリウム中の速度よりも約3倍大きくなった。これはOHラジカルの生成速度の差とほぼ一致した。ヘリウムの熱伝導度はアルゴンよりもはるかに大きいので、超音波によって引き起こされるキャビテーションバブル内の熱が周囲に散逸しやすく、ヘリウム中では水の分解がアルゴン中よりも抑えられたためと理解することができる。
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Research Products
(3 results)