Research Abstract |
消波機能と送水機能を兼ね備えた円錐形状浮体の送水エネルギーが見込まれることから,その原理を活かした重力式(越波型)波力発電装置を開発した.今年度は,波力発電システムについて,波高,周期,越波揚程,プロペラの特性に対する発電効率について研究を行い下記の成果を得た. (1)周期1.1〜1.3sでは,比較的安定した回転数,流速が得られたが,周期1.4sでは回転数,流速が低下した.これは波の周期が浮体の固有周期に近づくことによる共振が原因である。 (2)プロペラの枚数4,6,8枚では,6枚羽が最も効率よく回転した.プロペラの枚数が少ない程,通水性が良くなることから流速が速くなっている.しかし,流速が速くてもプロペコに効率よくエネルギーが伝わるとは限らない. (3)プロペラの角度においては,角度が15°から23°まで増加すると回転数,流速は増加するが,角度25°になったときに通水性が良くなり,回転数,流速が減少した. (4)揚程12cmで回転数,流速が最大となった.揚程が13,14cmと増すと,波高15cmに対して越波できずに回転数,流速が低下する.実際は,波高が大ききなるほど揚程を高くすることが可能となり,従って発電出力も増加する. (5)今回,最もエネルギー効率の良かったのは,波高15cm,周期1.2s,プロペラ6枚,角度23°,揚程12cm時で,発電効率は約3.5%となった. この研究は,近年,欧米で研究開発が進み,商用の送配電網に接続されている波力発電について,一旦研究が停止したわが国の波力発電の研究に対して有益な情報となる.また,海洋基本法の基本計画に合致するとともに,地球温暖化防止対策に貢献する意義は大きい.
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