2008 Fiscal Year Annual Research Report
自動サイクロトロン共鳴による電子ビーム加速と電力変換システムへの応用
Project/Area Number |
18560815
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Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
坂本 慶司 Japan Atomic Energy Agency, 核融合研究開発部門, 研究主席 (90343904)
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Keywords | 自動サイクロトロン共鳴 / 電力変換 / ミリ波帯マイクロ波 / 電子ビーム加速 / ジャイロトロン |
Research Abstract |
自動サイクロトロン共鳴による電子加速のシミュレーションをすすめ、現実の実験系である導波管中での電子と波の相互作用を調べた。その結果、電力変換への応用として考えられる現実的な電子エネルギー範囲(100keV以下)では、完全な自動サイクロトロン共鳴条件から外れても電子は十分なエネルギーに加速されることを明らかにした。また、加速された電子ビームに逆バイアスの静電圧を印加し、これを減速することにより電子の運動エネルギーを外部回路のエネルギーに変換するシステムを提案した。そのために、DC/DCコンバーターを用いてインピーダンス可変型の電源とすることを新たに考案し、具体的回路設計を行った。次に、ミリ波帯マイクロ波をエネルギー伝送媒体および電子加速のエネルギー源とする実験システムを構築した。DC電力からミリ波への変換には170GHzジャイロトロンを用い、その高性能化、高効率化研究を進め、60%レベルのDC-ミリ波変換効率を実証した。大電力ミリ波の長距離伝送には導波管形式を採用し、90%以上の伝送効率を実証した。併せて、空間ビーム伝送のシミュレーション及び遠隔エネルギー伝送実験を遂行した。電磁波-電子ビーム相互作用系には、ジャイロトロン型の空胴共振器を提案した。具体的には、受信側ジャイロトロンにガウス型電磁波ビームを入射し、内蔵されたモード変換器を介して共振器に共振モードを励起させる。ここに直進電子ビームを入射しミリ波を吸収させ加速させる。実験では100kWレベルの電磁波を伝送し、位相補正鏡を用いて受信側ジャイロトロンに入射した。電子加速は、逆バイアス電源の印加電圧、およびコレクター部でのX線の変化により測定する。電子加速実験は現在継続中であるが、今回の研究期間内に、ミリ波を用いたエネルギー変換システムの概念構築、実験システムの構築などの大きな成果が得られた。
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