2007 Fiscal Year Annual Research Report
脊椎動物における高度保存ノンコーディングゲノム配列の遺伝学的機能解析
Project/Area Number |
18570008
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
櫻庭 喜行 The Institute of Physical and Chemical Research, 個体遺伝情報研究チーム, 研究員 (00342791)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
権藤 洋一 独立行政法人理化学研究所, 個体遺伝情報研究チーム, プロジェクト副ディレクター (40225678)
藤堂 剛 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (90163948)
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Keywords | noncoding / 保存配列 / メダカ / 脊椎動物 / ゲノム / DNA |
Research Abstract |
タンパク質をコードしていないのにも関わらず、ヒト-他種間で非常に高く保存されているDNA配列の機能を調べるため、ヒトとマウスのゲノム配列比較から、95%以上の同一性で500bp以上の一致があるnoncoding配列を同定してきた。昨年の研究においても最新の配列情報でヒトとマウスのゲノム比較を行うことで、保存配列の再抽出を試み、新たな配列を同定することに成功した。これまでの情報とあわせると、合計で611配列を同定することができている。 これら保存配列が進化的に重要な機能をもつことが予想されるが、これらの配列が単に変異のcold spotsであるという仮説を直接反証するデータはない。そこで、マウスにおけるENU誘発変異頻度の測定をおこなった。保存配列における突然変異頻度は、通常のcoding遺伝子などにおける突然変異頻度と全く変わらなかった。個々の突然変異を見た場合も、ヒトから魚類にまで保存されている塩基配列にも変異が生じていることが確認され、「変異が生じづらいから結果として保存されてきた」という仮説を棄却する結果が得られた。この結果は、これら高度保存noncodingゲノム配列が生物学的機能を持つており、その配列に生じた突然変異は、進化の過程で自然淘汰により集団から取り除かれてきたことを示唆している。 ENUにより変異誘発したメダカ5,771個体のゲノムDNAを鋳型としてPCR増幅を行い、その断片の中に突然変異が含まれているかどうかを温度勾配キャピラリ電気泳動法でスクリーニングをおこなった。ヒトから魚類まで保存されている配列のうち、9種類のメダカゲノム配列について、のべ19,444,664bpのスクリーニングをおこなったところ、最終的に46変異を発見することに成功した。
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