2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18570013
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
和田 直也 University of Toyama, 極東地域研究センター, 教授 (40272893)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 輝隆 横浜薬科大学, 薬学部, 准教授 (80115162)
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Keywords | 気候変動 / 地球温暖化 / 高山生態系 / ハイマツ / モニタリング |
Research Abstract |
ハイマツの年枝伸長量から気候変動の影響を検出するため,富山県立山山地において,標高の異なる4つの調査地を設定し,各ハイマツの当年枝の伸長様式を調査した。当年枝の伸長様式は,標高の違いによる気温の違いだけでなく,雪融け時期による違いによっても集団間で大きく異なっていた。当年枝の伸長量は,前年の冬芽サイズの影響や土壌水分量の違いによる影響を強く受けていることが確認された。当年枝の伸長パタンをロジスティック曲線で回帰して成長解析を実施した結果,雪融けに伴う成長開始時期が遅れると伸長量が低くなることが確認された。また,2つの調査地にリタートラップを設置し,一夏の落葉量を測定し,既存のデータも含めて解析したところ,落葉量は4年前の夏の気温と有意な正の相関を示すことが分かり,落葉量が伸長量と同様に気候変動を反映する指標の一つであることが分かった。さらに,年輪データの解析から,1990年頃より年輪幅が広くなっている個体が比較的多いことが明らかとなった。次に,北アルプスの白馬岳,西穂高岳,乗鞍岳の各山頂に生育するハイマツを対象に,過去30年間の年枝伸長量を測定したところ,いずれの集団においても前年の夏の気温との間に正の相関が見られ,さらに年枝伸長量は集団間で同調しており,経年的に増加している傾向にあることが分かった。これらの結果は,前年度に調査した南アルプスにおけるデータを含めて解析しても同様であった。以上のことより,ハイマツの年枝伸長量が気温の変動による影響を受けやすい成長量であると同時に,広域的な気候変動による影響を評価する生物成長パラメータとして優れていることが確認できた。
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Research Products
(1 results)