2009 Fiscal Year Annual Research Report
大型果実をめぐるアリと植物の共生関係-特に種子散布とクリーニング行動について-
Project/Area Number |
18570014
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
大河原 恭祐 Kanazawa University, 自然システム学系, 助教 (70283091)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
秋野 順治 京都工芸繊維大学, 生物科学, 准教授 (40414875)
木下 栄一郎 金沢大学, 環日本海域環境研究センター, 准教授 (70234317)
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Keywords | アリ / 果実 / 種子 / カビ / 共生 |
Research Abstract |
今年度は樹種を限定し、アリによる落下果実への効果を調べた。2009年9月に金沢市近郊の落葉広葉樹林においてアカメガシワの結実木の観察を行った。観察木5本の中から花序を20個選び、それらの成熟果実全てにペイントマーカーでマークを施した。またこれら花序のついた枝の下にシードトラップを設置した。3週間後にマーク花序を採集し、残った果実数をカウント、さらにトラップ内に落下した果実数もカウントした。これにより鳥による運搬頻度、落下頻度を算出した。また別途に果実を林床に配置し、アリによる落下果実の運搬頻度も観察した。その結果、果実の落下頻度は60-80%程度で、さらに落下果実の90%以上はアリによって運搬されていた。この事はアカメガシワの果実に対するアリの運搬の貢献が高いことを示唆している。 さらに今年度もマレーシア、サラワク州のランビル国立公園へ渡航し、アリと果実の観察を行った。観察は12月に行ったが、今年度は森林の一斉開花が起こり、20種以上の果樹の落下果実についてアリの効果を観察することができた。アリの果実への捕食、運搬の効果は果実形態、特に果肉の特徴に大きく依存し、液分の多いニクヅク科Myristicaeの果実はヨコヅナアリ属の種によって頻繁に果肉捕食を受けていた。しかし、同じニクヅク科の種でも捕食を受ける種と受けなかった種があり、捕食を受けた種の果実は林床でカビや雑菌の感染を受け腐食しやすかったのに対し、捕食されなかった種では感染が起きにくかった。これらの事はアリによる果肉捕食と果肉のカビ感染が密接に関係していることを示唆している。
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