2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18570017
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
村瀬 潤 Nagoya University, 大学院・生命農学研究科, 講師 (30285241)
|
Keywords | 水田土壌 / メタン酸化 / メタン酸化細菌 / 原生動物 / 捕食選択 / 微生物食物連鎖 / アメーバ / 鞭毛虫 |
Research Abstract |
水田土壌の嫌気層で生成したメタンは、大気へと放出される過程で、酸化層あるいは好気的な根圏で大部分酸化されると考えられている。メタンを直接的に酸化・利用できるのは一部の細菌群集(メタン酸化細菌)に限られているが、メタノールなどの中間代謝産物やメタン酸化細菌バイオマスを利用することで他の微生物群が間接的にメタン由来の炭素循環に関与する可能性も考えられる。本年度は、異なるメタン酸化細菌に対する土壌原生動物の捕食性を比較した。 メタンを基質として培養したメタン酸化細菌10株を餌細菌に含む無機塩培地を用いて、水田土壌中の原生動物数を最確値法で計数した。土壌を接種しない場合と比較して明らかに餌細菌の減少が認められた培地では、アメーバおよび鞭毛虫を中心とする原生動物の活発な成育が認められ、メタン酸化細菌を捕食する原生動物の存在が確認された。7株のメタン酸化細菌では、E.coli JM103株を用いた場合と同程度(104 M. P. N g-1乾土)の原生動物が計数された。一方、残り3株(いずれもMethylocystis属)を用いた場合の計数値は有意に低く、メタン酸化細菌の間で被捕食性に差があることが示唆された。計数値の低かった1株(Methylocystis sp. RP1)について、生育時期の違いや菌体の熱処理の効果,原生動物に対する毒性作用などを検討したが,捕食性の違いを説明できなかった。メタン存在下であらかじめ培養した土壌について同様に原生動物を計数したところ、持にMethylocystis属を捕食する原生動物数の増加が観察された。計数培地からアメーバ14株、鞭毛虫1株を単離し、異なるメタン酸化細菌に対する捕食性を試験したところ,原生動物の計数結果と同じく、上記3株に対する捕食性は概して低かったが、原生動物の株間で捕食スペクトルの差も認められた。以上の結果から、土壌原生動物のメタン酸化細菌に対する捕食選択性が示唆された。
|
Research Products
(7 results)