2007 Fiscal Year Annual Research Report
宿主間の食う・食われる等の相互作用が二生吸虫類の多様性を決めているか?
Project/Area Number |
18570021
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Research Institution | Wakayama University |
Principal Investigator |
古賀 庸憲 Wakayama University, 教育学部, 教授 (50324984)
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Keywords | 寄生虫の多様性 / 捕食の程度 / 中間宿主 / 終宿主 / 干潟 / カニ / シギチドリ類 |
Research Abstract |
干潟に生息し第1中間宿主として巻貝、第2中間宿主として甲殻類や魚類、終宿主として鳥類を利用する二生吸虫類を用いて、寄生虫の多様性が、宿主群の生物多様性及び種間相互作用の豊かさのバロメータになるかを検証するために、2年目の昨年度は紀南の田辺湾内の干潟(内之浦、鳥の巣、横浦〜藤島、古賀浦)で調査を実施した。主な項目は次の通りである。 (1)甲殻類・魚類を捕食する鳥類の種の分布・個体数調査と採餌行動の観察 吸虫の終宿主となる渡り鳥の見られた4月下旬〜5月上旬にかけて実施した。干潟内で鳥の種や個体数、捕食する餌の種などにバラツキ・偏りが見られたが、詳細については現在解析中である。 (2)甲殻類・魚類および巻貝類の種の多様性と分布 吸虫の中間宿主となる底生動物類の種類と個体数、湿重量を上記4箇所の干潟で調査した。種の同定と個体数及び湿重量の測定は終了している。 (3)甲殻類・魚類の鳥による捕食されやすさ 4箇所の干潟において、鳥の採餌を模倣して5分間あたりの甲殻類の捕獲量を調査した。採集された大部分はカニ類であった。干潟により捕獲される種や個体数、湿重量は大きく変化した。 (4)甲殻類・魚類に寄生する二生吸虫相および吸虫の多様性 上記(3)で採集された種のカニをそれぞれ解剖し、吸虫の寄生状況を調査した。寄生率と寄生数は種や場所により変異があった。その変異の原因として鳥によるその場所の利用・その種への捕食の程度や巻貝類の生息状況など、複数の要因が考えられるが、詳細については今後解析する。 また、1年目の研究成果を第55回生態学会大会で発表した。好評で貴重なコメント等も得られた。
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