2008 Fiscal Year Annual Research Report
マントヒヒの父系制社会における近親交配回避のメカニズム
Project/Area Number |
18570030
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Research Institution | Kitakyushu Museum of Natural History and Human History |
Principal Investigator |
山根 明弘 Kitakyushu Museum of Natural History and Human History, 自然史課, 学芸員 (10359474)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩本 俊孝 宮崎大学, 教育文化学部, 教授 (40094073)
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Keywords | マントヒヒ / Papio hamadryas / 父系制の進化 / Y染色体 / マイクロサテライトDNA |
Research Abstract |
本研究は、哺乳類では極めてまれな社会システムである「父系制」の進化や維持において、「ユニット外繁殖」が不可欠であるとする、研究代表者の仮説を検証することを主たる目的としている。 本年度は、1998年以降、現地での共同研究者である、アハメッド・ブーク氏(Ahmed Boug:サウジアラビア王国National Wildlife Research Center所長)を平成2009年2月23日〜3月7日までの間、日本に招聘し、研究代表者および分担者の所属機関に滞在中、研究のとりまとめを行い、投稿論文作成のスケジュール等を協議した。また、今後の研究協力関係の確認や、将来にむけてのプロジェクト、およびそれに関わる競争的研究資金の獲得についての話し合いを行った。 1998以降、約10年間にわたり、サウジアラビア王国のタイーフ市のダムサイト個体群にて捕獲したオスのマントヒヒのうち、115個体について、Y染色体上のマイクロサテライト遺伝子の多型解析を行った。その結果、反復回数の異なる5つの遺伝子型(ハプロタイプ)が確認され、スリーピンクサイトを同じくする近隣の異なる群れ(バンド)間であっても、各ハプロタイプの遣伝子頻度の構成が大きく異なることが明らかになった。このことは、ごく近隣の群れの間であっても、オスの群れ間の移動、およびそれにともなう遺伝子交流が大きく制約を受けていることを意味し、父系制の社会的特徴が遺伝的なマーカーからも再確認されたことになる。
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Research Products
(1 results)