2007 Fiscal Year Annual Research Report
シロイヌナズナにおける新生ペプチドによる制御の分子遺伝学的探索および解析
Project/Area Number |
18570032
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
尾之内 均 Hokkaido University, 大学院・農学研究院, 准教授 (50322839)
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Keywords | 新生ペプチド / 翻訳アレスト / 上流ORF / リボソーム / 転写後制御 / シロイヌナズナ |
Research Abstract |
5'非翻訳領域に上流ORF(uORF)を含むシロイヌナズナの遺伝子の中から、uORFにコードされる新生ペプチドが翻訳制御に関与するものを探索し、新たに転写因子をコードする遺伝子においてuORFのアミノ酸配列依存的に下流ORFの翻訳が抑制されることを見いだした。この遺伝子のuORFにアミノ酸置換を導入することにより、翻訳抑制に重要なアミノ酸の同定を行った。その結果、C末端側の十数アミノ酸の領域が重要であることを明らかにした。この領域は他の植物におけるオルソログと考えられる遺伝子おいても、アミノ酸配列に保存性がみられた。 また、前年度に5'非翻訳領域のuORFにおいて翻訳アレストが起こることが示されたSAM decarboxylase遺伝子について、翻訳アレストと共役してmRNA分解が誘導されるか否かを検討した。そのために、野生型およびフレームシフト変異型uORFを持つ遺伝子を導入した形質転換シロイヌナズナを用いて、uORFのアミノ酸配列依存的なmRNA分解の促進がみられるかどうかをノーザン解析によって調べた。その結果、野生型uORFを持つ場合には、フレームシフト変異型uORFを持つ場合と比べてmRNA分解が速くなることが観察された。また、SAM decarboxylasemRNAにおける翻訳アレストはポリアミン添加によって促進されるが、この条件下ではmRNA分解のさらなる促進がみられた。これらの結果から、SAM decarboxylase遺伝子において、翻訳アレストと共役してmRNA分解が促進されることが示唆された。
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