2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18570035
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山田 真紀 東京大学, 分子細胞生物学研究所, 講師 (10332595)
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Keywords | 色素体 / 胚発生 / 老化 / 葉緑体 / 分化 / 植物 / シロイヌナズナ / 種子 |
Research Abstract |
色素体は環状のプラスチド遺伝子を持つ植物細胞内小器官の総称である。色素体の機能は多岐に渡っており、葉緑体では光合成により光エネルギーを生体エネルギーに変換し、このエネルギーを利用して二酸化炭素から糖などの有機化合物を合成する。また、アミノ酸や脂肪酸、さらには2次代謝産物の合成の場ともなっている。色素体は植物の生育環境や生育段階により分化・脱分化をおこない機能を変化させる。とくに老化葉では植物細胞死の進行とともに葉緑体がジェロントプラストへと分化する。本研究では機能未知の葉緑体タンパク質CDF1の機能解析により、色素体の機能転換による植物細胞の生死制御を解明することを目的としている。CDF1-GFP融合タンパク質を35Sプロモーター下で発現させると、緑葉の葉緑体ではシグナルが検出されないが、葉の老化に伴い葉緑体から分化したジェロントプラストに局在するようになる。また、CDF1の欠損は胚致死を引き起こすことから、その機能は胚発生に必須であることが考えられていた。本年はこうした知見をもとにさらに詳細な研究を行い、CDF1をCDF1欠損植物内で発現させることにより、胚致死の表現型が相補されることを明らかにした。すなわち、胚致死はCDF1の機能の欠損が原因となっていたことを証明した。また、胚発生の過程を詳細に観察し、CDF1欠損植物では球状胚の段階で胚発生が停止することを見いだした。来年度はさらにCDF1の過剰発現体における表現型として老化の時期の変動に注目した解析をおこない、色素体の分化過程と老化現象の関連について解析を行う予定である。
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