2007 Fiscal Year Annual Research Report
色素体分裂制御遺伝子群ネットワークの内的・外的環境に対する応答の解析
Project/Area Number |
18570037
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
吉岡 泰 Nagoya University, 大学院・理学研究科, 准教授 (60202397)
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Keywords | 葉緑体 / シロイヌナズナ / 形態形成 / 色素体分裂 |
Research Abstract |
昨年度までに(1)CRL遺伝子はFtsZリング形成には関与しない新たな色素体分裂制御因子である可能性があること、(2)crl変異体、crl ftsZl-l2重突然変異体いずれの胚においてもプラスチドが検出できない細胞が存在すること、(3)分裂が阻害されて大きくなった色素体、クロロフィルを持たない色素体が高頻度で生じること、(4)crl、 crl ftsZl-lでは環境応答に重要な働きもするオーキシンの局在が胚において変化している事などを明らかとした。 昨年度の成果(2)は色素体局在蛍光タンパク質を用いて調べた結果から得られたものである。そこで、今年度はミトコンドリア局在蛍光タンパク質GFPを発現しているcrl変異体の胚子葉、気孔の細胞をDAPI染色することによって、crl変異体では色素体DNAが検出できない細胞が存在することを明らかとした。 また、今年度は色素体局在蛍光タンパク質を発現している分裂期胚細胞をDAPI染色することによって、一方の娘細胞側にしか色素体が存在しない細胞が存在することを見いだした。さらに、crl変異体と同程度に細胞あたりの色素体数が減少しているが、色素体を持たない細胞が生じていないarc6変異体の分裂期の細胞では、細胞分裂時に色素体が脱落しないよう色素体が細胞全体に広がっていることを見いだした。これに対して、crl変異体の分裂細胞では細胞に占める色素体の割合が野生型よりも減少していた。 これらの結果から、crl変異体では色素体分裂が阻害されていることに加え、色素体の拡大も阻害されているために、色素体の不均等分配がおこり、色素体を失った細胞が生じている事が示唆された。
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