2006 Fiscal Year Annual Research Report
14-3-3を介したrolB遺伝子の発根および多面発現効果機構の解明
Project/Area Number |
18570043
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
田中 伸和 広島大学, 自然科学研究支援開発センター, 助教授 (50263744)
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Keywords | rolB / 14-3-3 / キナーゼ / 形態異常 / 形態形成 |
Research Abstract |
発根遺伝子rolBが示す発根および多面発現効果は植物14-3-3タンパク質を介していると考えられ、さらに当該14-3-3がターゲットとする植物(タバコ)タンパク質の候補として1種のキナーゼおよび3種の転写因子などのcDNAを取得している。本年度は、特にキナーゼ(SPAK)の機能を明らかにすることを行った。本キナーゼはトマトのSPタンパク質をリン酸化するSPAKのホモログで、NtSPAKと命名した。NtSPAKはNIMA/Nekキナーゼファミリーに属すると考えられ、細胞増殖、器官分化と密接な関連があると思われる。 はじめに、タバコ培養細胞BY-2でNtSPAK遺伝子の過剰発現およびノックダウンの系統を取得した。コントロール細胞に比べ、NtSPAKの過剰発現およびノックダウン形質転換BY-2細胞は双方とも細胞が肥大する傾向にあり、現在その理由の解明に着手している。一方、タバコ植物でNtSPAKを過剰発現および転写抑制する系統を作製した。35Sプロモーターで過剰発現する植物体は大変取得が困難で、5系統しか取得できなかった。これらのうち、表現型がrolB形質転換植物体に類似する系統があり、矮化、葉の形態と葉脈の配置の異常、花の形態異常と花粉形成異常などが見られた。これらの表現型の異常を示す植物体のNtSPAKの転写量をRT-PCRで確認したが、コントロール植物のそれよりわずかに上昇しているのみであった。一方、ウェスタン解析によるNtSPAKタンパク質の検出は困難であり、発現量が非常に低いことが示唆された。また、BY-2細胞の系でも同様な結果が示された。以上のことから、NtSPAKは本来発現量が非常に低く、僅かな発現増加でも形態異常を示すことが推定され、器官形成に重要な役割を果たすことが期待される。
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