2006 Fiscal Year Annual Research Report
孔辺細胞カルシウムシグナリングにおける葉緑体の役割の再評価
Project/Area Number |
18570048
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kyoto Prefectural University |
Principal Investigator |
椎名 隆 京都府立大学, 人間環境学部, 教授 (10206039)
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Keywords | 葉緑体 / Ca2+ / Ca2+シグナル / 孔辺細胞 / 気孔運動 / チラコイド膜 / イクオリン |
Research Abstract |
気孔の運動は、光や乾燥シグナルなど、様々な刺激に応答して制御されている。特に、ABAや細胞外Ca2+が誘導する気孔の閉鎖運動に先だって、細胞質Ca2+濃度が一過的に上昇することが知られている。この細胞質Ca2+濃度の上昇は、細胞外からのCa2+流入と細胞質ストアからのCa2+リリースが関わっており、液包や小胞体がCa2+の細胞内ストアとして中心的役割を果たしている。一方、植物特異的なオルガネラである葉緑体の役割は十分分かっていない。本研究では,Ca^<2+>センサータンパク質として同定されたCAS'(Ca2+ sensor)が葉緑体に局在することを、GFP融合タンパク質の細胞内局在解析、細胞分画とイムノブロッティング、さらにプロテオーム解析から、CASが葉緑体チラコイド膜に局在することを明らかにした。また、気孔におけるCASの機能解析をさらに進めた。その結果,CASが細胞外Ca2+が誘導する気孔閉鎖運動に必須のタンパク質であることを明らかにした。さらに最近,イクオリンを使い、CASが気孔閉鎖運動に先立つ細胞質Ca2+シグナリングに関わることも明らかにしている,以上の結果は、気孔の閉鎖運動の制御と、それに先立つ細胞質Ca2+濃度変化に葉緑体が重要な役割を果たしていることを示している。本研究によって、植物細胞のCa2+シグナリングにおける葉緑体の新しい役割を提案することができた。
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