Research Abstract |
本研究では,ヒメミカヅキモの二種類の受容体型タンパク質(CpRLK1,CpRLP1)が実際に結合するリガンド分子の同定を行うことで,ヒメミカヅキモの有性生殖過程における細胞間情報伝達をさらに詳細に掘り下げることを目的としている。本年度はまず,大腸菌による組換え型のCpRLK1,CpRLP1(細胞外ドメインのみ)の産生を進めたが,CpRLK1については大腸菌内で分解を受けてしまうため,それ以上の解析が不可能であり,CpRLP1については,アフィニティー精製の段階で吸着量が非常に少なく,性フェロモンとの直接的な相互作用を見るに至らなかった。 並行して,2種類の性フェロモン(PR-IP,PR-IP Inducer)に対する受容体分子を探索すべく,それぞれのフェロモン遺伝子をbaitとして用いて,Two-hybrid systemによるスクリーニングを進めた。その結果,接合時に遺伝子発現レベルが高まり,PR-IPの19-kDaサブユニットと相互作用すると思われる2種類の未知遺伝子を同定した。また,PR-IP Inducerについては,これまでのマイクロアレイ解析において,見出されていたCp-01遺伝子と高い類似性を示す遺伝子が,複数の陽性コロニーから得られた。Cp-01自身は,PR-IP Inducerにより+型細胞特異的に誘導される遺伝子であり,何らかの形で有性生殖進行に関わるものと考えられていた分子である。今回得られた遺伝子を,Cp-01-likeと名付けることとし,発現解析などを進めている。 さらに,今年度はパーティクルガンによる遺伝子導入系を確立し,未知遺伝子産物の細胞内局在解析が可能となった。今後,Two-hybrid systemで見出された新規遺伝子や,CpRLK1,CpRLP1などの機能解析に対して,多大な貢献をすることが期待された。
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