2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18570062
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
若林 和幸 Osaka City University, 大学院・理学研究科, 准教授 (10220831)
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Keywords | 植物 / 細胞壁 / フェノール化合物 / 多糖類 / 酵素 |
Research Abstract |
本研究では、イネ科植物でのフェノール化合物を介した細胞壁内ネットワークの形成について、(1)マトリックス多糖分子間を架橋するジフェルラ酸の形成(重合反応)に関わる細胞壁ペルオキシダーゼと、(2)細胞壁内に存在するシュウ酸酸化酵素(germin)が、ペルオキシダーゼ反応に必須の過酸化水素の供給に関与する可能性を検証して、イネ科植物の細胞壁内ネットワーク形成機構を生化学的に明らかにすることを目的としている。 目的の(1)については、黄化オートムギシュートを材料として、活性細胞壁標品から3Mの塩化ナトリウムを含む緩衝液により抽出したタンパク質画分を用いてペルオキシダーゼの精製を行った。硫安沈澱によりタンパク質を濃縮し、イオン交換カラムで分画したところ、活性は100-200mMの塩化ナトリウム濃度で溶出し、2つのシャープなピークに分離した。次に、それぞれのピークをゲルろ過カラム(Superose-12)に供したところ、両者とも単一のピークとして22-25kDaの範囲に溶出した。現在、別種のゲルろ過カラム等を用いて、ピーク画分の精製をさらに進めている。 目的の(2)については、コムギ芽生えの根をシュウ酸あるいは過酸化水素を含んだ溶液中で処理することで、in vivoでの細胞壁のフェノール化合物量の変化を調べた。シュウ酸あるいは過酸化水素処理により、細胞壁中のフェルラ酸量が大きく減少し、逆に、リグニン量が有意に増加した。この時、細胞壁中のジフェルラ酸量はほとんど変化しないか、若干、減少した。従って、過酸化水素の供給が増加すると、細胞壁中ではジフェルラ酸形成よりも、リグニン形成が促進される可能性が示された。
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Research Products
(4 results)