2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18570062
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
若林 和幸 Osaka City University, 大学院・理学研究科, 准教授 (10220831)
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Keywords | 植物 / 細胞壁 / フェノール化合物 / 多糖類 / 酵素 |
Research Abstract |
本研究では、イネ科植物でのフェノール化合物を介した細胞壁内ネットワークの形成について、(1)マトリックス多糖分子間を架橋するジフェルラ酸の形成(重合反応)に関わる細胞壁ペルオキシダーゼの同定と、(2)細胞壁内に存在するシュウ酸酸化酵素(germin)が、ペルオキシダーゼ反応に必須の過酸化水素の供給に関与する可能性を検証して、イネ科植物の細胞壁内ネットワーク形成機構を生化学的に明らかにすることを目的としている。 目的の(1)については、昨年度、ゲルろ過カラム(Superose-12)上で単一ピークとして溶出された活性画分を、さらに別種のゲルろ過カラム(Superdex-75)に供したところ、タンパク質の溶出パターンと活性が重なった。そこで、得られた活性画分をSDS-PAGE電気泳動で分析したところ、36kDaと34.5kDaの2本のバンドが検出された。これまでに報告されている細胞壁ペルオキシダーゼは30-40kDaであることから、上記の2つはアイソフォームの可能性が考えられる。比活性でみると、この画分は約200倍に精製されていた。この画分を用いてpH依存性を調べたところ、pH6付近で活性が最大になることが示された。目的の(2)については、調製した活性細胞壁標品をシュウ酸あるいは過酸化水素で処理するin vitro系で見られた、フェルラ酸量の減少について調べた。シュウ酸や過酸化水素で処理すると、細胞壁ペルオキシダーゼの活性が増加して多糖とフェルラ酸の間でエーテル結合が形成され、その結果、弱アルカリ溶液で抽出されるエステル結合性のフェルラ酸が減少することが示された。このエーテル結合性のものの増加が、リグニン量の増加として検出されたと考えられる。
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Research Products
(4 results)