2007 Fiscal Year Annual Research Report
ショウジョウバエ微小脳における性的二型神経回路網とその機能の解明
Project/Area Number |
18570065
|
Research Institution | Hokkaido University of Education |
Principal Investigator |
木村 賢一 Hokkaido University of Education, 教育学部, 教授 (80214873)
|
Keywords | 昆虫 / 行動学 / 脳・神経 / 遺伝子 / ショウジョウバエ / 性行動 / 性決定 |
Research Abstract |
本研究では、ショウジョウバエ微小脳の高次中枢神経回路網に注目し、構造上の性差の存在を明らかにし、性行動における機能を解明することを目的とする。Fruitless(Fru)タンパクを発現するニューロン群は、雄の交尾行動を制御する神経回路網に関わっていると考えられる。このFru発現ニューロン群がどのような回路網を形成しているか明らかにするため、Fru遺伝子発現ニューロンの形態および投射領域を網羅的に調査し、Fru発現ニューロン群の脳地図作成を進めてきた。その結果、Fru発現ニューロン群のいくつかには明らかに性差が存在することが明らかになった。同定されたFru発現ニューロン群が、交尾行動をどのように制御しているか明らかにするために、中枢神経系の一部のニューロン群を雄化するモザイク系統を作製し、雌において雄の交尾行動を開始するために必要なニューロン群の同定を試みた。その結果、脳後方背側領域に存在する特定のニューロン群P1が雄化することにより、雌において雄特異的な交尾行動が開始されることを見いだした。このニューロン群P1は、雄特異的に存在するニューロン群であり、雌には存在しない。細胞死を抑制すると雌においてもP1ニューロン群が形成されることから、ニューロン群P1の雌雄差形成に雌特異的な細胞死が関与することが明らかになった。このニューロン群P1は、ショウジョウバエの雄交尾行動の開始に重要な役割を持っているものと考えられる。
|
Research Products
(6 results)