2006 Fiscal Year Annual Research Report
ペプチド作動性ナトリウムチャネルの構造機能相関と生理機能に関する研究
Project/Area Number |
18570071
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
古川 康雄 広島大学, 大学院総合科学研究科, 教授 (40209169)
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Keywords | イオンチャネル / ペプチド / 構造機能相関 |
Research Abstract |
本研究課題では、現在構造が知られている唯一のペプチド作動性イオンチャネルであるFMRFamide作動性ナトリウムチャネルの構造機能相関および生理機能を明らかにすることを目的としている。本年度に行った研究により、次のことが明らかになった。 (1)二価イオン結合によるチャネル機能阻害 FMRFamide作動性ナトリウムチャネルは、外液のCa^<2+>によってチャネル阻害を受ける。そこで、他の二価イオンの作用を検討した。その結果、Ni^<2+>、Mn^<2+>、Zn^<2+>、Cd^<2+>にも阻害作用が認められた。また、これらの二価イオンは、チャネルの開閉機構にも影響を与えることが明らかになった(第28回日本比較生理生化学会大会、第77回日本動物学会大会で発表)。 (2)二価イオン結合部位の同定 Ca^<2+>は、FMRFamide作動性ナトリウムチャネルを阻害するだけでなく、その脱感作を抑制する。一方、Mg^<2+>はCa^<2+>とは異なり、チャネルを阻害することなく脱感作を増強する。これらの二価イオン作用の分子機構を明らかにするために、二価イオン結合部位の探索を試みた。チャネルの一次構造を同じイオンチャネル族に属する他のチャネルと比較することにより、二価イオン結合部位の候補と思われる箇所を2箇所見出し、各々に点変異を導入した変異体チャネルを作製した。これらのチャネルの機能を調べたところ、脱感作に対する二価イオン作用が欠落したチャネルになっていることがわかった(発表準備中)。 今後は、(2)の研究をさらに進展させるために、同定された箇所における別種の変異体チャネルを作製して機能解析を行う。また、(1)でみられた二価イオンによるチャネル阻害やチャネル開閉機構の修飾に関わる二価イオン結合部位の同定もあわせて進めていく予定である。
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