2007 Fiscal Year Annual Research Report
ミトコンドリア全ゲノム情報に基づく日本産コンブ属植物の系統と種分化に関する研究
Project/Area Number |
18570077
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
四ツ倉 典滋 Hokkaido University, 北方生物圏フィールド科学センター, 助教 (60312344)
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Keywords | 海産植物 / コンブ属植物 / 遺伝的多様性 / 系統 / 種分化 / ミトコンドリアDNA / 塩基配列 |
Research Abstract |
前年度ミトコンドリアDNA(mtDNA)の全塩基配列を決定したマコンブのゲノム構造をもとに、北海道産コンブ属6種:ホソメコンブ、リシリコンブ、オニコンブ、エナガコンブ、ミツイシコンブ、アツバコンブについて全塩基配列を決定し、構造比較を行なった。 調べられた6種はマコンブと同じく何れも環状構造を示し、その構成は既知のヨーロッパ産Laminaria digitataと殆ど同様であったが、後者に存在する1カ所のOpen Reading Frame(ORF 157)が北海道産7種では認められなかった。塩基長はマコンブ系のホソメコンブ、オニコンブ、エナガコンブがマコンブと同じく何れも37,657bpで全領域を通して塩基の挿入・欠損は無く、一方、リシリコンブでは37,656bpで、前4種との間にrRNA(rps19)に1塩基の挿入・欠損が見られた。これらマコンブ系コンブ5種の中では塩基の変異は乏しかったが、それらのアライメントでは全領域で69サイトに相違が検出され、特にtRNAの2領域:trnL(=1.39)およびtrnM(=1.33)、rRNAの1領域:rps19(0.80)、ORFの1領域:ORF41(0.79)、およびスペーサーの7領域(=0.85-4.00)で高い塩基置換率(>0.50)が示された。また、ミツイシコンブ、アツバコンブの全塩基長はそれぞれ37,604bp、37,500bpであり、マコンブ系コンブに比べてゲノムサイズは幾分小さかった。マコンブ系コンブ内で比較的変異の大きいrps19における塩基の相同率は、マコンブとミツイシコンブの間で96%、マコンブとアツバコンブの間で95%、ミツイシコンブとアツバコンブの間で96%であった。 本研究により遺伝的相違に乏しい北海道産コンブ属植物について、mtDNAの複数領域から変異を検出ですることができ、系統・種分化を推察することができた。
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