2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18570081
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
小野 義隆 Ibaraki University, 教育学部, 教授 (90134163)
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Keywords | サビキン / 宿主特異性 / 異種寄生性生活環 / 種分化 / 系統 |
Research Abstract |
Chaconia科サビキン9種の宿主範囲と異種寄生性生活環を明らかにし、種の識別を行った : 1) Ochropsora ariaeがキクザキイチゲとヤマブキショウマおよびザイフリボクに異種寄生 ; 2) O.nambuanaがニリンソウとグミ属植物に異種寄生 ; 3) Ceraceopsora elaeagniはO.nambuanaと同種 ; 4) Aplopsora corniがアズマイチゲとミズキに異種寄生 ; 5) A.loniceraeがキクザキイチゲとウグィスカグラに異種寄生 ; 6) A.tanakaeがエゾエンゴサクとヤブマメに異種寄生 ; 7) ムカゴイラクサに寄生するサビキンはニリンソウに異種寄生するAplopsora属の新種 ; 8) ミツバウツギに寄生するサビキンはAplopsora属の新種 ; 9) ナツブジ属植物に寄生するサビキンは、Chaconia科Maravalia属の新種、であることを明らかにした。これら菌群の分子系統解析の結果、同所的に分布するOchropsora属とAplopsora属の菌群は、直近祖先を共有しており、それぞれ固有のクレードを構成しなかった。このことは、跳躍的な宿主変更が同所的な種分化をもたらしたことを示唆している。広域分布するブドウ属植物に寄生するPhakopsora euvitis種群には寄生性と形態的特徴に分化が認められなかったが、分子系統解析の結果は、東アジア、東南アジア、オーストラリアおよび北アメリカ南部に分布する菌群が異なる「系統種」であることを示唆している。この結果は、ブドウ属植物に寄生するP. euvitis種群が地理的隔離にともなって種分化したことを示唆している。また、シャクナゲ属植物に寄生するChrysomyxa succtnea種群では、地理的分布の異なる宿主植物のフェノロジーに適応して生活環を分化させた菌群があることが明らかになった。
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Research Products
(5 results)