2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18570089
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
高宮 正之 Kumamoto University, 大学院・自然科学研究科, 教授 (70179555)
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Keywords | シダ植物 / 種分化 / 雑種形成 |
Research Abstract |
本年は昨年度に続き鹿児島県屋久町小瀬田のミヤマノコギリシダ複合体集団について、外部形態、染色体数、胞子稔性、核と葉緑体遺伝子を用いた分子遺伝学的分析によって雑種形成について解析した。当地には、ミヤマノコギリシダ(以下ミヤマ)、ホソバノコギリシダ(ホソバ)、オオバミヤマノコギリシダ(オオバ)、ヒロバミヤマノコギリシダ(ヒロハ)の5種とそれらの間での複雑な形態した雑種群が認められた。昨年度に加え合計250個体について、全ての個体の位置を正確に記録し、個体から葉を採集して乾燥標本とした。完成標本から胞子を採取し、正常形態の胞子の割合を調べ、昨年度分も再調査し胞子稔性を求めた。10個体は採集し染色体調査を行った。葉緑体DNAのpsbC〜trnS(UGA)、trnW(CCA)〜trnP(UGG)、trnL(UAA)〜trnF(GAA)の3 遺伝子間領域と核遺伝子のPgiCでPCR-SSCP分析を行った。染色体数を調査した個体は全て2n=164の四倍体で、同一の四倍体レベルでの雑種形成であった。胞子稔性が高い個体には、形態的な特徴から種と思われる個体と、ミヤマ、ホソバ、オオバ、ヒロバ間の雑種と思われる個体があった。雑種には胞子稔性が高い個体があり、戻し交雑された雑種第3代と推測される個体もあった。屋久島では、これら4種間で複雑な浸透性交雑が繰り返されていることがわかった。
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