2007 Fiscal Year Annual Research Report
アジア産ヒラタクワガタにおける形態形質変異の遺伝的基盤および種分化機構の解明
Project/Area Number |
18570095
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Research Institution | National Institute for Environmental Studies |
Principal Investigator |
五箇 公一 National Institute for Environmental Studies, 環境リスク研究センター, 主席研究員 (90300847)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
立田 晴記 独立行政法人国立環境研究所, 環境リスク研究センター, 主任研究員 (50370268)
近藤 夏子 独立行政法人国立環境研究所, 生物圏環境研究領域, NIES特別研究員 (10414369)
国武 陽子 独立行政法人国立環境研究所, 環境リスク研究センター, NIESポスドクフェロー (90414367)
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Keywords | ヒラタクワガタ / DNA / 系統解析 / 生物地理 / 種分化 |
Research Abstract |
ヒラタクワガタの分子系統解析について、産地が明確な中国産のサンプルを採集できたことで、本種が生息するアジア大陸および島嶼のほとんどすべての地域サンプルが揃った。これによりアジア地域のmtDNA系統樹が完成した。それに基づけば日本列島のヒラタクワガタ個体群は中国を起源として約150万年かけて島ごとに分化を果たしたことが示された。さらに東南アジア地域における遺伝的分化プロセスも明らかとなり、スンダランド大陸が列島として分化した地史的順序も明らかとなった。 ヒラタクワガタ系統間の交雑実験については、日本列島産の本州ヒラタ、ツシマヒラタ、サキシマヒラタ、オキナワヒラタ、およびアマミヒラタと東南アジア産スマトラオオヒラタ(インドネシア)、パラワンオオヒラタ(フィリピン)、ミンダナオオオヒラタ(フィリピン)、およびセレベスオオヒラタ(インドネシア)間で交雑実験を昨年度に引き続き行った結果、高い交雑和合性が認められ、多くの雑種成虫が得られた。メス親が日本産系統の場合は体サイズの違いから交雑が成立しなかった。さらに同じ東南アジア産系統であるスマトラオオヒラタとダイオウヒラタの間でも交雑和合性が高く、多数の雑種を得ることができた。また同様に同じ日本列島産系統であるツシマヒラタと本州ヒラタの間でも多数の座種が得られた。昨年度からの結果を総合すると分化して100万年以下の個体群同士の場合は交雑和合性が低く、100万年以上隔離され、リング種的な位置関係にある場合は交雑和合性が高くなる傾向が示され、通常、負相関関係を示す交雑和合性と遺伝的距離がクワガタの場合、正の相関を示すことが明らかとなった。また、ツシマヒラタと本州ヒラタは九州北部で同所的に生息しており、このエリアではハイブリッドゾーンが形成されている可能性が高い。今後、核DNAおよびmtDNAの置換が生じていないか、調査していく。 雑種の形態形質の解析を行うために、画像データの収集を進めた。次年度はこれらの画像データをもとに形態形質のフーリエ解析を行い、雑種の形質上の特徴を定量化する。
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