2006 Fiscal Year Annual Research Report
IRE1によるmRNAスプライシング機構の構造的基盤
Project/Area Number |
18570106
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
児嶋 長次郎 奈良先端科学技術大学院大学, バイオサイエンス研究科, 助教授 (50333563)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三島 正規 首都大学東京, 理工学研究科, 准教授 (70346310)
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Keywords | 耕造生物学 / NMR / シグナル伝達 / タンパク質 / 分子認識 |
Research Abstract |
小胞体膜上のIRE1は、N末側を小胞体内腔にC末側を細胞質に向けたI型膜貫通蛋白質で、内腔側領域で変性蛋白質の蓄積を感知する。活性化したIrelpは小胞体シャペロン遺伝子群の転写活性化因子HAC1のmRNAを特定の部位で切断し、スプライソソーム非依存のスプライシングを行うことでHaclpの翻訳を可能にする。この全く新しいスプライシングは、1)5'側と3'側の切断が独立に起こる、2)tRNAリガーゼが関与する、3)細胞質で行われる、などの特徴を持ち、酵母から高等動物まで広く保存されている情報伝達機構である。本研究では小胞体ストレス応答におけるIRE1経路、特にスプライソソーム非依存型スプライシング機構の構造的基盤の解明を目指した。 平成18年度はIrelp RNaseドメインの構造解析を中心に進めた。加えて細胞質領域の結晶化とHAC1 mRNA切断部位を含むステムループRNAの構造解析に取組んだ。(1)NMR測定のための13C、15N安定同位体標識を行い、バッファーや温度などの測定条件を最適化した。HEPESバッファーを用い、弱アルカリ性で測定した時に最も良好なスペクトルが得られた。(2)Irelp細胞質領域について大腸菌での大量発現系と精製系の確立に成功し、箱嶋敏雄教授(奈良先端大)の協力を得て結晶化に取組んだ。タンパク質由来と思われる結晶が得られたが、現段階では再現性に乏しい。(3)Irelp細胞質領域が認識するRNA配列に、配列特異的な立体構造があるかどうかを明らかにするために、Irelpが認識するHAC1 mRNAの2つのステムループの立体構造解析に取組んだ。イミノプロトンシグナルの解析から、ステム領域以外にも塩基対を形成している領域があることが示唆された。
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