2007 Fiscal Year Annual Research Report
筋小胞体カルシウムポンプE2PCa中間体からのカルシウム放出機構の解析
Project/Area Number |
18570119
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Research Institution | Asahikawa Medical College |
Principal Investigator |
山崎 和生 Asahikawa Medical College, 医学部, 助教 (60241428)
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Keywords | 筋小胞体 / カルシウムイオン / カルシウムポンプ / 酵素速度反応論 / SERCA1a |
Research Abstract |
Tyr122 Hydrophobic-cluster(Y122-HC)を構成する残基のCa^<2+>放出機構での役割の解析 Y122-HCを構成する各残基をアラニンに置換した変異体を作成し、定常状態におけるE2P蓄積量のCa濃度依存性から、各変異体のE2PのLumen側Ca^<2+>に対する親和性を見積もったところ、110-330μMという値が得られた。また野生型のE2Pに関してはこれまで、このCa^<2+>結合の親和性は直接見積もることが出来なかったが、今回はじめて、E2PへのCa^<2+>結合速度とE1PからのCa^<2+>放出速度から、この親和性が1.5mMであると見積もることができた。この結果はこれらの変異体すべてで、内腔向きのCa^<2+>親和性が野生型と比較して高くなっていることを示しており、能動輸送において重要な、放出側でのリガンドとの親和性の低下を引き起こすメカニズムにおいて、Y122-HCが非常に重要な役割を持っていることが示された。次に内腔側からのCa^<2+>結合速度を見積もったところ、どの変異体もほぼ同じ速度であったが、その速度は野生型と比較して顕著に低下していることが示された。この結果は変異体において内腔側のCa^<2+>ゲートが十分にE2Pでも十分に開いていないことを示唆するものであり、Y122-HCがCa^<2+>親和性の低下だけではなく、内腔側のCa^<2+>ゲートの開放にも重要な役割を持つことを示している。 野生型Ca^<2+>-ATPaseを用いた解析 一連の解析の中で新たに野生型Ca^<2+>-ATPaseでもK^+が存在しない条件では、E2PのCa^<2+>に対する性質がY122-HCを非常に似通っていることが明らかになった。Ca^<2+>-ATPaseの内腔側へのCa^<2+>放出機構にK^+イオンが重要な役割を果たしているという結果は今回初めて得られたものであり、Ca^<2+>-ATPaseによるCa^<2+>輸送の分子機構を考える上で、非常重要な知見である。
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Research Products
(3 results)