2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18570121
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
森岡 瑞枝 The University of Tokyo, 大学院・理学系研究科, 助教 (20272461)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
体々本 哲彦 玉川大学, 学術学研究所, 准教授 (60235257)
|
Keywords | 細胞内共生 / ブフネラ / リソソーム / CPVL |
Research Abstract |
アブラムシ細胞内共生の歴史は約2億年と推定されている。共生系がこのように長期にわたり安定に維持されてきたメカニズムの解明は非常に興味深い。本研究では、宿主アブラムシの生理状態とブフネラ密度変動の相関関係を解析するため、脱皮直後の日令をおって菌細胞内のブフネラ密度の変動を調べるとともにその分子基盤の解明が目的とした。得られた成果を以下に記す。 最終脱皮直前から宿主の発生のステージを追って宿主モルフ(有翅型および無翅型)とブフネラの菌細胞内密度の変化を定量的に解析した結果、有翅虫におけるブフネラ密度は最終脱皮2日前〜脱皮後1日目の間に激減する事を見出した。では、ブフネラ密度が激減するこの時期、菌細胞の中ではどのような変化がおきているのであろうか?外科的に単離した菌細胞のプロテオーム解析より、Carboxypeptidase vitellogenic like (CPVL)が有翅虫の菌細胞で特異的に発現が増強している事を見い出した。また、アブラムシCPVLはプロセッシングおよび糖付加により活性化され、リソソーム酵素としてブフネラの公解に寄与していろ可能性を示唆した。さらに、LysoTrackerを用いた組織化学的解析により、最終脱皮直後の有翅虫菌細胞においてリソソームの数が激増している事、透過型電子顕微鏡観察によりリソソーム様の膜構造に包囲されかブフネラ像存在する事を見出した。 本研究で得られた結果は、アブラムシ細胞内共生系は非常に長期にわたり垂直伝播により子孫へと伝播されてきた事から極めて"安定な系"として捉えられがちであったが、実は宿主の生理状態に呼応し劇的に変動していること、また、その変動に宿主リソソーム系が深く関与している可能性を示したものであり、本研究の成果はこれまでほとんど未知であった細胞内共生系の維持機構の分子的基盤の解明こ大きく寄与するものと考える。
|
Research Products
(4 results)