2007 Fiscal Year Annual Research Report
Met/HGF受容体シグナル変換能の制御を介した組織再生・恒常性維持機構の研究
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18570127
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
松本 邦夫 Kanazawa University, がん研究所, 教授 (90201780)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 隆弘 金沢大学, がん研究所, 助教 (70414018)
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Keywords | HGF / Met / 接触阻害 / 組織再生 / ノックアウトマウス / チロシンフォスファターゼ / チロシンキナーゼ / 細胞増殖因子 |
Research Abstract |
Met/HGF受容体のシグナル変換能は傷害・細胞間接着などによって制御され,正常組織においてはたとえHGFが結合しても活性化されない何らかの抑制機構が働いている。本年度は細胞間接着やjuxtamembrane領域(Jxt領域)内のSer985のリン酸化を介したMet受容体抑制機構を解析するとともに,Jxt領域欠損Met(ΔJxt-Met)を発現するノックインマウスの作成を行った。 1.HGFは低細胞密度下の肝細胞の増殖を促す一方,高細胞密度では増殖を促進しない。低細胞密度ではHGFによるMet活性化が持続する一方,高細胞密度ではLARチロシンフォスファターゼがMetを不活化した。Met-LAR複合体形成によるMetの活性化抑制は細胞間接触や組織化を介した再生制御に関与することが示唆された。 2.ΔJxt-Metを発現するノックインマウス作成のため,前年度において選択した相同的組換えを起こしたES細胞からキメラマウスを作成し,キメラマウスの交配によりΔJxt-Met発現マウスを作成するとともに,本マウスでの病理異常を解析した。 3.培養肝細胞系でJxt領域のSer985がリン酸化された状態ではHGFに依存したMet受容体のチロシンリン酸化が抑制された。無傷の肝臓ではSer985がリン酸化されHGFによるMet活性化が抑制されている一方,傷害を引き金にSer985の脱リン酸化が引き起こされ,HGF依存的なMet活性化に一致すること,再生のヒークを過ぎると再びSer985はリン酸化され抑制機能が働くことが明らかになった。 Met受容体の抑制機能はHGF-Met系を介した組織再生の制御に関与することが強く示唆された。Met受容体ON⇔OFFシグナル変換制御のさらなる解析は形態形成や再生制御の深い理解につながると考えられる。
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Research Products
(27 results)