2007 Fiscal Year Annual Research Report
異なる生物種はヘムオキシゲナーゼをどう使い分けるか-ヘム分解特性の種依存性の解明
Project/Area Number |
18570130
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
右田 たい子 Yamaguchi University, 農学部, 教授 (90159161)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
右田 耕人 山口大学, 大学院・理工学研究科, 准教授 (90116757)
佐藤 道比古 山形大学, 医学部, 准教授 (00135344)
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Keywords | ヘムオキシゲナーゼ / 酵素反応機構 / 生物種依存性 / 分子認識 / タンパク質 / 反応制御 |
Research Abstract |
1.ダイズHO-1(GmHO1)の分子特性とヘム代謝機構の解明 (1)電子スピン共鳴法による生理的条件下でのヘム複合体のヘム分解反応の追跡を行い、低スピン型ベルドヘム中間体を始めて検出した。(Biochem.Biophys.Res.Commun.に投稿中) (2)ダイズHO-1によるヘム分解は他の生物種のHOと同様の化学課程を経て逐次的に進行するが、中間体のベルドヘムと、ヘムのα-メソ炭素が解離して発生する一酸化炭素との親和性が低く、またベルドヘムからビリベルディン複合体への過程が遅いという特徴がある。この原因を明らかにするために、遠位側の残基の部位特異的変異体を調製し、それぞれのヘム複合体の特徴を分光法で調べるとともに、ヘム分解の速度論解析を行った。その結果、動物HO1のアスパラギン酸残基に代わってヒスチジン残基がヘム鉄上での酸素活性化に必須のプロトンリレーを行っていること、および、その周辺残基もプロトンリレーを補助していることが明らかになった。(FEBSJournalに投稿準備中) 2.ラットおよびシアノバクテリアHO-1による、アスコルビン酸を電子供与体とするヘム分解反応の速度の違いを支配する因子を解明するために、ヘムポケットの近位ヘリックスを構成する残基の中で、シアノバクテリアHO-1と異なるラットHO-1の残基を変異させ、速度論解析を行った。またヘム近位配位子ヒスチジンと水素結合しているグルタミン酸残基をアラニン置換することで、ヘム分解速度が大きく変化し、近位側によるヘムの酸化還元電位の調節が、アスコルビン酸共役によるヘム分解反応を調節していることを明らかにし、近位側でのヘム分解調節の実験的証拠を始めて明らかにした。(Biochemistryへ投稿中) 3.ラットHO-1での電子伝達経路を明らかにするために、20の芳香族アミノ酸のロイシン置換体を調製し、変異導入によるヘム複合体の構造への影響とヘム分解反応への影響を検討し、電子の入り口に当たる残基を提案した。さらに、ヘム-HO-1複合体と、電子供与体であるシトクロムP450還元酵素(CPR)と"入り口残基"の変異体HO-1のヘム複合体との解離定数を、CPRの蛍光消光から求め、その値が野生型酵素と変わりなく、したがって、"入り口残基"の妥当性を強く支持する結果を得た。(J.Biol.Chem.に投稿準備中)
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Research Products
(8 results)