2007 Fiscal Year Annual Research Report
プロテインキナーゼCK2によるクロマチン機能の調節
Project/Area Number |
18570133
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Research Institution | Fukushima Medical University |
Principal Investigator |
本間 美和子 Fukushima Medical University, 医学部, 講師 (40192538)
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Keywords | CK2 / セリン・スレオニン キナーゼ / 細胞周期 / クロマチン / 細胞核 |
Research Abstract |
多彩な細胞内基質を有するCK2は、細胞周期特異酌な標的分子をリン酸化することで、厳密にコントロールされた細胞周期進行に関与する事が予想されている。本研究では、細胞周期特定の時間軸においてCK2によりリン酸化される「核内基質」を明らかにし、その核内ターゲットに的を絞って、CK2による機能制御の仕組みを解析することを第一の目的とした。CK2は触媒サブユニットであるalpha(αまたはα')と制御サブユニットbeta(β)がヘテロ4量体を形成するとholoenzymeとして最大活性を示す。本研究の成果では、1)各サブユニットは増殖刺激後すみやかに核内に移行し再集合するが、CK2としてのキナーゼ活性が、細胞内移行に必須であることを見出した。その際、2)特定の細胞周期にCK2と相互作用する核内タンパクとして、これまでの二次元電気泳動法や抗体アレイによる検討結果から、RNA結合タンパクの他、DNA合成酵素、転写因子、細胞骨格系タンパクの他、DNA・RNA合成酵素、DNA複製開始複合体、ヒストン交換反応に関与するクロマチン制御タンパクが、CK2によるリン酸化により機能制御を受けている事を明らかにした。これらの結果からCK2は、DNA合成と密接に関連して起こるヒストン交換反応とヌクレオソーム形成など、ダイナミックなクロマチンの構造変化とクロマチン機能制御に重要な役割を果たす可能性が示唆された。 今後は、CK2が、生存と増殖に重要な役割を果たす遺伝子複製や転写制御など、ダイナミックな細胞機能に関与するメカニズムの詳細を明らかにすると共に、正常な細胞周期進行の根幹を成すクロマチン制御機構について、重要な知見を得られると期待される。さらにCK2が、いかに厳密に細胞周期進行や核の機能変化を調節するのか、生体調節の仕組みを解明したい。
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