2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18570138
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Research Institution | Nagahama Institute of Bio-Science and Technology |
Principal Investigator |
齊藤 修 Nagahama Institute of Bio-Science and Technology, バイオサイエンス学部, 教授 (60241262)
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Keywords | 味覚 / 受容体 / 細胞膜 / G蛋白質 / RTP / REEP |
Research Abstract |
我々は、舌上の味を感じる味蕾の特に味孔(taste pore)にどのようにして味覚受容体が集中しているのか、その分子基盤に注目した。近年多数同定されてきた苦味受容体T2Rファミリーは、通常の培養細胞に発現させてもいずれも細胞膜にターゲットされない事が知られている。一方、嗅覚受容体も、同様に自身では細胞膜にターゲットできない受容体として知られていたが、嗅覚受容体を膜に移動させるRTR・REEPファミリーが2004年に発見された。以上から、味細胞には味覚受容体を細胞膜にターゲットさせるシステムが存在することが強く示唆され、本研究では、味覚受容体の味孔集積にアプローチする第一段階として、味覚受容体の細胞膜ターゲット機構を明らかにする。 小腸由来の培養細胞であるSTC-1細胞は、小腸由来でありながら幾つかの味覚受容体の発現が報告されていた。そこで、このSTC-1細胞を味細胞モデルとして、どのような味覚システムを持っているか、さらにこの細胞の味覚受容体の膜移行システムを解析した。 18年度の解析で、STC-1細胞が苦味、甘味、塩味、酸味、うま味全ての5味物質に応答できることを発見した。今年度は更に詳しく解析した結果、苦味、酸味、塩味の受容システムは舌と類似したシステムであるが、甘味のシステムは、砂糖・人工甘味料の反応性から感受度が舌とは異なるシステムであること、またうま味のシステムはイノシン酸による増強を示さない舌より高感度システムであることが分かってきた。また、さらにSTC-1細胞の全細胞が複数の味に応答性を示すのか検討すると、50%近い細胞群が5基本味全てに反応できることが判明し、舌とは大きく異なる事が明らかになった。また、苦味受容体の細胞膜移行能については、18年度の解析から、外来性に導入した苦味受容体mT2R8を、味に応答しないHEK293やNIH3T3の細胞では、細胞膜移行出来ないが、STC-1細胞は細胞膜に移行出来ている事が判明していた。そこで、今年度は、STC-1細胞の持つ受容体膜移行因子の探索を行った。結果、RTPファミリーの発現は、NIH3T3とSTC-1細胞で違いはないこと、ところがREEPファミリーでは、STC-1細胞にREEP1,2,4,6が高発現していることが明かになった。また、苦味受容体mT2R8は味細胞に発現の高いG蛋白質Gustducinと共発現するとHEK細胞でも細胞膜移行できることを突き止めた。
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