2008 Fiscal Year Annual Research Report
超高圧ACナノカロリメーターの開発とそれを用いた蛋白質の熱容量の圧力依存性の研究
Project/Area Number |
18570148
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Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
八尾 晴彦 Kyoto Institute of Technology, 工芸科学研究科, 准教授 (60212271)
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Keywords | 蛋白質 / 生物物理 / 生化学 / 圧力変性 / 熱測定 |
Research Abstract |
前年度からの課題である、一万気圧の超高圧を加えられるように改造したACナノカロリメーターの動作試験を行った。その結果、熱容量の測定精度は±0.06%と当初期待していたほどの測定精度が出ないことがわかった。この精度では、希薄溶液中のタンパク質の圧力変性における過剰熱容量を測定することは困難である。そこで、試料セルを2つ用いて、一方を未知試料、他方を参照試料とし,その差を測定することによって測定精度の向上が期待できる示差ACカロリメトリーという方法を試みることにした。 示差ACカロリメトリーは過去に他の研究者によって試みられているが、目立った成果は得られていなかった。これはおそらく、2つの試料セルを高い精度で等しくすることが困難であるためであると思われた。そこで、これまで蓄積した熱測定の経験を元に細心の注意を払って、示差ACカロリメトリーのための装置を設計し、製作を行った。動作試験の結果、熱容量の測定精度を±0.0015%と通常の40倍まで向上できることがわかった。これで、タンパク質の圧力変性における過剰熱容量を測定できる目処が立った。この成果は、2008年10月に熱測定討論会で発表した。現在、標準的なタンパク質であるlysozymeの圧力変性前後における過剰熱容量の測定を試みているが、圧力媒体がタンパク質試料と混合する問題が起こるので、解決法を模索している。この問題を解決して、測定結果を発表する予定である。
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