2006 Fiscal Year Annual Research Report
細胞内1分子計測法を用いた機械刺激受容センサーの作動機構の解明
Project/Area Number |
18570151
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
小林 剛 名古屋大学, 大学院医学系研究科, 研究員 (40402565)
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Keywords | 生体膜 / 受容体 / チャンネル |
Research Abstract |
細胞は、伸展やずり応力などの機械刺激を感知し応答反応を示す。その過程で、多くの場合、機械刺激に対するセンサーの一つであるMS(mechano-sensitive)チャネルが関与していると考えられている。細菌由来のMSチヤネルは、細胞膜の膜張力の変化を直接感知していることが明らかになりつつある。一方、高等生物のMSチヤネル(特にstretch-activatedチヤネル)の場合、細菌のチヤネルとは異なり、チヤネル単独で膜張力の変化を感知するのではなく、細胞膜裏打ち骨格や骨格関連タンパク質を介して膜伸展を間接的に感知している可能性が指摘されている。本研究では、この作業仮説を、生体1分子計測法を用いて、チャネルを直説的に可視化することにより検証した。観察対象として、我々の研究グループが見出したMSチャネル、SAKCAチャネル{膜伸展依存性BKチヤネルを選択し、そのN未端に遺伝子工学的に単量体GFP一タグを付加し(SAKCA-mGFP)、培養細胞に導入し発現させた。この細胞を蛍光1分子観察したところ、SAKCA-mGFP分子には細胞膜上で拡散運動しているもの(平均の拡散係数0.4μm^2/s)と、ほとんど運動体止しているものが存在することがわかった0また、接着部位とSAKCA分子の同時観察を行ったところ、細胞接着部位上、あるいは、その近傍で、SAKCA分子の運動性が低下していることがわかった。一方、コントロール分子として観察した他の膜受容体(エンドセリン受容体タイブA、P2×4受容体、SCF受容体など)では、SAKCAチヤネルのような細胞接着部位特異的な運動性低下は見られなかった。これらの実験結果は、機械刺激受容センサーであるSAKCAチヤネルが、細胞骨格-接着分子と相互作用し超分子複合体を形成し、膜伸展を効率的に感知している仮説を支持するものである。
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