2006 Fiscal Year Annual Research Report
アクトミオシン動作機構におけるアクチンのポテンシャル変化の役割
Project/Area Number |
18570153
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
岩根 敦子 大阪大学, 医学系研究科, 助教授 (30252638)
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Keywords | 1分子計測 / 分子機械 / 分子モーター / 蛋白質 / バイオテクノロジー |
Research Abstract |
ミオシンの運動メカニズムとして今まで広く信じられてきた"首振り説"が本当に正しいかどうか証明したい。単なる首振り運動ではなく、"バイアスのかかった熱ゆらぎ運動"で説明できそうである。どちらが正しいかは今後様々な方法で検討されるべき重要な問題ではあるが、2002年に私達が学術論文で発表したミオシンがアクチンに結合することによりアクチンフィラメント上に"ホットスポット"を呼び起こすという仮説から、さらに一方向に動く決め手に成りえる証拠を出したい。一方、アクトミオシン相互作用時にアクチンが回転するという実験結果に非常によく合う結果を計算機実験から得た。私達はこの結果を2005年に学術論文に報告し、アクチン側の重要性は回転とも密接に関与していることを示した。"回転"と"ホットスポット"との関係も明らかにしたい。 平成18年度は、先ず、(1)ホットスポットが出来る機序を電顕画像とは別の方法で確認する目的でGFPを付加したミオシンVに加え、Quantum Dotでミオシンを標識するのに相応しい組み換え体を作成した。また、(2)我々の他のグループが1分子FRET技術を用いてATP存在下、ミオシンVと相互作用時に骨格筋アクチンの分子内構造変化(アクチンの活性化)を示唆する結果を本年報告した。そこで、活性化状態のアクチンを観察・解析するために必要不可欠なアクチン変異体作成も行っている。続いて、(3)イメージングの技術を用いてATP存在下、ミオシンV運動時に骨格筋のアクチンフィラメントが回転している様子を実時間で可視化することに成功し、ミオシンVの運動様式(モデル)を提唱することが出来た。アクトミオシン相互作用時のアクチンフィラメントの回転が実験でも確認された。この結果は現在学術論文に報告するため準備中である。一方、(4)低濃度のATP存在下、ミオシンVとアクチンフィラメントを相互作用させるとミオシンの結合部位周辺だけアクチンフィラメントの構造が少しねじれることが電子顕微鏡像から得られた。ミオシンの結合に伴い、次にミオシンが相互作用し易い部位をアクチンがあえて露出させている可能性が出てきた。ホットスポットの存在がまさに明らかにされようとしている。
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