2007 Fiscal Year Annual Research Report
アクトミオシン動作機構におけるアクチンのポテンシャル変化の役割
Project/Area Number |
18570153
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
岩根 敦子 Osaka University, 生命機能研究科, 准教授 (30252638)
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Keywords | 1分子計測 / 分子機械 / 分子モーター / 蛋白質 / バイオテクノロジー |
Research Abstract |
ミオシンの運動メカニズムとして"バイアスのかかった熱ゆらぎ運動"で説明できそうである。2002年に私達が学術論文でミオシンがアクチンに結合することによりアクチンフィラメント上に"ホットスポット"を呼び起こすという仮説を示したが、さらに一方向に動く決め手に成りえる証拠を出したい。 平成19年度は、先ず、ATP存在下ミオシンが一方向性に動く決め手を電顕画像とは別の方法で、確認した。(1)18年度に作成したGFPを付加したミオシンV,VIに加え、Quantum Dot付加後でも十分に活性を保持しているミオシンV-HMM組換え体を用いて滑走中のミオシン運動を1分子運動イメージングで観察し、平均75ナノメートルでの連続ステップの計測に成功した。さらにCy3-ATPをこの実験系に加え,ATP加水分解とこのステップとの同時計測を行い、ミオシンV-HMM組換え体の進行方向の前足ではADP放出が抑制され、一方向性を得る現場を直接とらえることに成功した。また、(2)アクチンの活性化状態を可視化するために分子内コンフォメンション変化を1分子FRETを用いて確認した。骨格筋由来のα-アクチン,細胞性粘菌のβ-アクチン両組換え変異体を用い、特異的な位置に蛍光色素を導入後、無蛍光のアクチンモノマーと共重合させ、ATP存在下、ミオシンVと相互作用有無でアクチンの分子内構造変化が異なる結果を得、現在詳細に解析を行っている。続いて、(3)ミオシンV運動時に歩行1歩あたり2度のATP依存的90度回転が起こることが明らかとなった。その回転方向はランダムであり、ミオシンVは熱ゆらぎを利用して回転すると考えられる。(1)、(2)研究成果は現在、学術論文として準備中、(3)については今年度学術論文として報告し、幾つかの会議で口頭発表を行った。熱ゆらぎを一方向運動にする仕組みは明らかになりつつある。
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