2007 Fiscal Year Annual Research Report
ショウジョウバエを用いた転写制御の新たな分子メカニズムの解明
Project/Area Number |
18570161
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
上田 均 Okayama University, 大学院・自然科学研究科, 教授 (60201349)
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Keywords | 転写制御 / ショウジョウバエ / 染色体ペアリング / 変態 |
Research Abstract |
昨年度同定した近縁種間でよく保存されているEDG84A遺伝子転写開始点上流約140bpの領域について、その重要性をさらに詳しく調べるため、塩基置換を導入したプロモーターとLacZとの融合遺伝子を持つ系統数を増やして発現パターンを解析した。その結果作成したすべての系統において発現の低下がみられ、この領域がEDG84A遺伝子の発現に重要であることが示唆された。また、遺伝子転写開始点上流約100bpのエクダイソン誘導性の転写因子DHR3の結合部位の重要性を調べるため、この部位に変異を導入した系統でのLacZの発現量を正常なプロモーターを有する融合遺伝子を持つ系統でのLacZの発現量と比較した。その結果、ほとんどの系統において発現量の低下が観察され、DHR3が結合することが効率の良い転写活性化に必要であると推定された。以上のことおよび以前の解析結果をあわせ、EDG84A遺伝子は、非常に複雑な機構で時期および部位特異的発現が制御されていることが明らかになった。また、DHR3結合配列もショウジョウバエ近縁種間で保存されており、明らかにした機構での制御の重要性が支持された。 次に、トランスポゾンの挿入位置が、そのトランスポゾンに存在する遺伝子のペアリング依存的な転写活性化にどのような影響を与えるか調べるため、すでに作成している通常ペアリング依存的転写活性をおこすEDG84Aプロモーターを有するトランスポゾンの挿入系統におけるトランスポゾンの挿入位置をinverse PCR法によって解析した。その結果、今のところは挿入位置と遺伝子発現への影響の何らかの関係はみいだされておらず、未知の機構による制御が働いているものと推定された。
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Research Products
(2 results)