2007 Fiscal Year Annual Research Report
熱ショック転写因子によるIL-6遺伝子発現制御の分子機構
Project/Area Number |
18570162
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
井上 幸江 Yamaguchi University, 大学院・医学系研究科, 講師 (60159978)
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Keywords | 遺伝子 / 転写制御 / サイトカイン / ストレス応答 / 免疫応答 / 炎症反応 / 遺伝情報 / 熱ショック応答 |
Research Abstract |
熱ショック転写因子HSF1は熱ショック遺伝子だけでなくサイトカイン遺伝子などの発現制御にも関与しているがその制御機構はよくわかっていない。申請者らは、HSF1によるIL-6遺伝子の発現制御の分子機構を、マウスの胎児繊維芽細胞(MEF)および腹腔マクロファージを用いて調べた。 (1)HSF1はIL-6遺伝子のプロモーターHSE2に構成的に結合しており、この結合がIL-6遺伝子の発現誘導に必要である。HSE2への結合のKd値は高いが、抗体によるスーパーシフトの結果、確かに結合するこが確認できた。 (2)HSF1変異分子を作成してIL-6遺伝子の発現誘導を調べたところ、DNA結合能をもつ3量体HSF1が必要であることがわかった。 (3)HSF1欠損細胞では、転写活性化因子NF-kBや転写抑制因子ATF3のIL-6遺伝子プロモーターへの結合が抑制された。 (4)ヒストンアセチル化阻害剤であるトリコスタチンA、DNAメチル化阻害剤アザシチジンでHSF1-/-MEF細胞を処理したところ、IL-6の発現が野生型の細胞と同じレベルまで回復したことから、HSF1によるIL-6遺伝子の発現制御がクロマチンの構造変化によることがわかった。 (5)野生型およびHSF1-/-MEF細胞を用い、制限酵素によるIL-6遺伝子上流のDNA切断の効率を調べたところ、野生型MEF細胞では、クロマチンが開いた状態であることが確認できた。 以上のことから、HSF1はIL-6遺伝子の熱ショックエレメントに結合することによって、クロマチンの構造変化を引き起こし、その結果、NF-kBやATF3の結合を促進することによってIL-6遺伝子の発現を制御していることがわかった。
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