2006 Fiscal Year Annual Research Report
DNA複製開始にCDKを必要としない変異、JET1の解析
Project/Area Number |
18570167
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | National Institute of Genetics |
Principal Investigator |
田中 誠司 国立遺伝学研究所, 細胞遺伝子研究系, 助手 (50263314)
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Keywords | DNA複製 / CDK / 細胞周期 |
Research Abstract |
真核細胞のゲノムDNAの複製は、各染色体上に複数存在するDNA複製起点から開始する。S期に入ると複製起点は2つのキナーゼ、CDKとCdc7により活性化され、DNA複製が開始する。この過程におけるCDKの生理的ターゲットは長年未知であったが、2002年にSld2が複製開始に必須なCDKのターゲットとして報告された。これまでの研究代表者の解析から、Sld2のリン酸化は複製開始に必要であるが十分でないことがわかった。そこで、Sld2のCDKによらない構成的な活性化型変異を作製し、それと合成致死となるような変異体のスクリーニングを行い、CDKなしでもDNA複製を開始する変異体(JET1)を取得した。このJET1変異体は、G1期停止、S期CDKあるいは全てのCDK活性を抑制した状態においてDNA複製を行うことができた。また、密度勾配遠心法や2次元ゲル電気泳動法等の手法を用いて、このとき実際にDNA複製が起きていることを示す証拠が得られた。さらなる解析から、1)Sld3タンパクがS期CDKの必須なリン酸化ターゲットであること、2)Sld3はリン酸化されるとDpb11タンパクと結合するようになること、3)先に述べたSld2がDpb11のC末端側と結合するのに対し、Sld3はDpb11のN末端側と結合すること、を見いだした。これらのことはDNA複製開始に際してCDKがSld2,Sld3をリン酸化し、Dpb11との複合体形成を促進することを示している。さらに、Sld2とSld3のリン酸化をバイパスするような変異を組み合わせると、CDK活性がなくてもDNA複製を開始できることがわかった。このことは、Sld2,Sld3が複製開始における最少のCDKの基質セットを構成していることを示しており、本研究によりDNA複製開始における重要なステップが解明できたと考えている。
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Research Products
(2 results)