2006 Fiscal Year Annual Research Report
ミトコンドリアDNA複製開始の新規制御機構に関する研究
Project/Area Number |
18570168
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
凌 楓 The Institute of Physical and Chemical Research, 吉田化学遺伝学研究室, 先任研究員 (70281665)
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Keywords | DNA二本鎖切断 / Saccharomyces cerevisiae / 相同DNA組換え / ローリングサークル型DNA複製 / コンカテマー / ホモプラスミー / ヘテロプラスミー / DNA修復 |
Research Abstract |
ミトコンドリアDNA(mtDNA)の組換えは二本鎖の切断から始まることが知られている。本研究では酸化損傷塩基を除去する修復酵素Ntg1が、 mtDNAの複製開始点で二本鎖DNAの切断を誘起し、コンカテマー(直鎖状直列多量体)状のmtDNAの合成に関与することを見出した。Ntg1の働きで二本鎖DNAの切断が誘起され、組換え酵素Mhr1に依存したローリングサークル型mtDNAの複製が開始される結果、mtDNAのコピー数が増大すると考えた。また、mtDNAの複製開始点での二本鎖切断の生成がImr1タンパク質の過剰発現によって抑制されたことから、mtDNAコピー数調節にImr1タンパク質が寄与すると考えられる。組換え反応においてMhr1による相同DNA対合には、二本鎖切断の末端を加工し、3'単鎖末端を生成させる酵素が必要なため、5'-3'エキソヌクレアーゼIのホモログであるDin7というミトコンドリア局在のタンパク質に着目した。このDin7を過剰発現するとmtDNAの複製開始点での二本鎖切断の量とmtDNAコピー数、及びモノマーに対するコンカテマーの相対量が増加した。このようなことから、Din7が二本鎖切断の末端を加工することでコンカテマー形成を促進しmtDNAコピー数を増加させることが示唆された。また、発現が誘導されるDIN7とNTG1遺伝子の発現調節機構を解明するために、プロモーターアライメントを行ったところ、二つの遺伝子のプロモーター領域に相同性の高い塩基配列を見出した。この塩基配列はシスエレメントとしてDIN7の発現調節を通してmtDNAの複製に関与すると考えられる。さらに、二本鎖切断部位におけるImr1タンパク質の作用機構を解明にするために大腸菌におけるIMR1遺伝子発現系を構築し、Imr1タンパク質を精製した。精製標品はSDS-ポリアクリルアミドゲル電気泳動上で単一のバンドを示した。
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