2007 Fiscal Year Annual Research Report
ATRX症候群原因遺伝子において変異が多発するZnフィンガー領域の機能解析
Project/Area Number |
18570170
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Research Institution | Kazusa DNA Research Institute |
Principal Investigator |
稲本 進 Kazusa DNA Research Institute, ヒトゲノム研究部・ゲノム解析技術研究室, 研究員 (90211747)
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Keywords | ユビキチンリガーゼ / Znフィンガー / 遺伝病 |
Research Abstract |
ATRX症候群原因遺伝子においてN末の3つのZnフィンガー領域(ZnF1,ZnF2,ZnF3)に遺伝病の変異が多発するが、この領域の機能は不明であった。本研究は、遺伝病において変異が多発する領域がユビキチンリガーゼ活性を有し、これがクロマチン関連因子のユビキチン化を通じて遺伝子発現を制御するという仮説を検証することを目的として研究を行い、平成19年度は以下の様な結果を得た。 1.ATRXのZnフィンガー領域はユビキチンリガーゼの活性をもち、この活性には今までにユビキチンリガーゼ活性を持つことが知られているRING/PHDフィンガー様のドメイン、ZnF2-ZnF3だけではなく、そのN末のZnF1も必要であった。そこで、(1)ZnF1のZnファインガー構造を壊す変異体を作製したところ酵素活性が消失した。このことよりZnF1のZnフィンガー構造はリガーゼ活性に必要であることが分かった。更に、(2)この変異体と変異がないZnフィンガードメインのFar-UV CDスペクトルを測定した結果、変異体はα-ヘリックスの含量が減少していることがわかった。このことより、ZnF1のみの変異によりZnフィンガー全体の構造が大きく変化し酵素活性が消失したと考えられた。 2.ATRXに相互作用するヘテロクロマチン蛋白質HP1とヒストン脱アセチル化酵素HDAC1がATRXのユビキチンリガーゼの基質かどうかを調べたが、どちらもユビキチン化されなかった。 3.ATRXファミリーのZnフィンガーに保存されている、ヒトATRXLαのアミノ酸を変異させるとユビキチンリガーゼ活性が消失した。これによりファミリー間で保存されたアミノ酸はユビキチンリガーゼ活性に重要であることが分かった。 4.DrosophilaのATRX様遺伝子のZnフィンガー領域のユビキチンリガーゼ活性を調べたが、活性が見られなかった。
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Research Products
(1 results)