2007 Fiscal Year Annual Research Report
マウス心臓弁形成過程における増殖因子HB-EGFによる細胞増殖抑制機構の解明
Project/Area Number |
18570176
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
岩本 亮 Osaka University, 微生物病研究所, 准教授 (10213323)
|
Keywords | 細胞・組織 / 発生・分化 / 増殖因子 / 細胞間情報伝達 |
Research Abstract |
HB-EGFはEGFファミリーに属する増殖因子である。我々はこれまでのHB-EGFノックアウト(KO)あるいは非切断型変異HB-EGFノックイン(UC)マウスなどの変異マウスを用いた解析から、これら変異マウスはいずれも発生段階において心臓弁(動脈弁及び房室弁)の著しい肥厚症状を呈し、この肥厚は後期リモデリング過程での弁間質細胞の増殖昂進によるものであることを明らかにしている。これらの結果から、分泌型HB-EGFは心臓弁形成過程、特に後期リモデリング過程において、間質細胞の増殖を負に制御しているということが示唆される。そこで本研究ではこれまで「増殖促進因子」であると考えられてきたHB-EGFが、いかにして心臓弁間質細胞の増殖を抑制しているのか、その分子機構について明らかにすることを目的としている。前年度KOマウスの発生過程の心臓弁において発現が変動する種々の因子を探索したところ、これまで上皮間葉転換に重要であることが知られている転写因子の一つSnailの発現が、KOマウス心臓弁の特にリモデリング過程において、著しく低下していることを見出した。そこで本年度は、この過程におけるSnailの機能について、主に胎仔期心臓器官培養実験系を用いて解析を行った。その結果、1)培養KO心臓弁における間質細胞増殖性昂進とSnail発現低下の確認、2)培養KO心臓弁へのHB-EGF強制発現による間質細胞増殖性の低下とSnail発現の復活、3)培養KO心臓弁におけるSnail強制発現による間質細胞増殖性低下を確認し、心臓弁形成過程においてSnailがHB-EGFの下流で細胞増殖抑制に機能していることを明らかにした。
|