2006 Fiscal Year Annual Research Report
アスパラギン結合型糖鎖による細胞膜受容体の機能及び分子間相互作用の制御機構
Project/Area Number |
18570177
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Tohoku Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
顧 建国 東北薬科大学, 薬学部, 教授 (40260369)
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Keywords | N型糖鎖 / インテグリン / シグナル伝達 / 受容体 / 複合体 / ラミニン-5 |
Research Abstract |
インテグリンは細胞外マトリックスへの細胞の接着を媒介する膜貫通型糖蛋白質で、細胞内蛋白質のチロシンリン酸化や低分子量GTP結合蛋白質の活性化を通じて細胞内骨格系の再編成や増殖・分化のシグナル伝達に深く関わる。また、インテグリンと細胞増殖因子受容体との相互作用は、細胞の増殖・移動・生存などの生理的な過程のみならず、がん細胞の増殖・転移・浸潤など病理的な過程にも重要な役割を担っている。一方、細胞表面に発現するインテグリンはN-結合型糖鎖の主なキャリアータンパク質である。細胞に発現する糖鎖構造は糖転移酵素、糖鎖分解酵素などの糖鎖合成関連遺伝子(糖鎖遺伝子)の発現パターンにより決定される。これらの遺伝子をもちいて、糖鎖リモデリング、そしてグライコミクスの手法によって糖鎖の生理機能、癌転移への影響、疾患との関連などが明らかとなりつつある。我々は、GnT-IIIがGnT-Vのアンタゴニストであろうと考えた。がん転移・浸潤と深く関わる標的分子インテグリンα3β1を用いて、その仮説を証明した。基底膜の主な成分であるラミニン-5上でのインテグリンα3β1を介したがん細胞浸潤は、細胞にGnT-III遺伝子を導入することによって阻害されたが、逆にGnT-Vの発現によって促進された。このGnT-Vによるがん細胞浸潤の促進はGnT-IIIの発現によって著しく抑制された。また、申請者は、インテグリンα5の機能糖鎖部位を解析し、β-プロペラドメインにヘテロダイマーの形成と構造の維持に重要な糖鎖付加部位が存在し、特異的な構造を持つことを見出した。
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