2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18570179
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
木俣 行雄 奈良先端科学技術大学院大学, バイオサイエンス研究科, 助手 (60263448)
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Keywords | 小胞体 / 分子シャペロン / ストレス / 酵母 / UPR / オルガネラ |
Research Abstract |
小胞体内のタンパク質高次構造形成に異常をきたすと、小胞体分子シャペロンなどの遺伝子の転写が誘導される。小胞体内の異常を小胞体外に情報伝達するタンパク質はすでに発見されており、そのひとつが小胞体局在I型膜貫通タンパク質Ire1である。Ire1が小胞体内に蓄積した構造異常タンパク質を認識する機構を明らかにすることが、本研究の目的である。Ire1には通常時には小胞体内在性分子シャペロンであるBiPが結合しており、小胞体内への構造異常タンパク質の蓄積に応じて解離する。いくつかの知見から、BiPの結合がIre1の活性を抑えているのは確かなようである。そこで、このシステムでは構造異常タンパク質を認識するのはIre1ではなくBiPであり(BiPは分子シャペロンなので、当然構造異常タンパク質との結合能を有する)、構造異常タンパク質へのBiPの結合はそのまま、Ire1からのBiPの解離およびIre1の活性化をもたらすというモデルが考えられた。しかし、BiPとの結合ドメインを欠失させたIre1変異体も恒常的な活性型ではなく、野生型と同程度に、小胞体への異常タンパク質の蓄積の度合いに応じて制御されていた。そこで今回私は、BiPの解離以外にIre1の活性化を促す要因を探した。まず、Ire1小胞体内腔ドメイン内で折りたたみが緩い領域のひとつ、すなわちサブ領域IIIと名付けた領域を欠失させたIre1変異体(ΔIII変異体と命名した)は、活性が著しく低下していた。ΔIII Ire1は、BiPの結合と解離については正常であった。一方、Ire1小胞体内腔ドメインから成る組換えタンパク質は、in vitroで変性タンパク質の凝集を阻止する、すなわち構造異常タンパク質と直接的に相互作用することが分かったが、ΔIII変異により、その能力が失われた。よって、Ire1は構造異常タンパク質を直接的に認識し、BiPにとは独立した様式でも、自らの活性化をもたらすと考えられる。
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