2007 Fiscal Year Annual Research Report
細胞周期のS期に機能する新たなタンパク質分解系の解析
Project/Area Number |
18570181
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
西谷 秀男 University of Hyogo, 生命理学研究科, 教授 (40253455)
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Keywords | 細胞周期 / 分解 / 複製 |
Research Abstract |
細胞周期のM期終期からG1期においてDNA複製のライセンス化に必須な因子Cdt1は、S期の開始とともに速やかに分解される。Cdt1のN末には約10アミノ酸の種間で保存されたPCNA結合配列(PIP-ボックス)があり、PCNAとCul4-DDB1が、S期のみ機能するCdt1の分解システムであることを明らかにした。また、この分解系は、UVなどのDNA損傷を受けたときにも機能する。従って、PCNAがクロマチンに結合しているS期やDNA修復時に、Cul4-DDB1と連係してCdt1の分解をもたらすと考えられた。PIP-ボックスに変異を持つCdt1は、UV照射後安定であり、また、Skp2-Cul1の機能を抑制するとS期に安定に存在した。PIP-ボックスを持つPCNA結合蛋白質は数多く知られている。BLMDNAリガーゼ、CDKインヒビターp21などを材料に、S期やUV照射後、分解されるかどうか調べたところ、p21タンパク質がPCNA依存的に分解されることを明らかにした。PCNAをサイレンシングあるいは、p21のPIP-ボックスに変異を入れるとp21は、S期およびUV照射後、安定化した。続いて、p21の分解がcul4-DDB1依存的であることを示すため、Cul4やDDB1の発現をsiRNAを用いて抑制すると、S期およびUV照射後分解されなくなることを確認した。また、Cul4やDDB1がp21と結合することを明らかにした。さらに、Cul4-DDB1に結合してCdt1の分解に関わる因子として見つかったCdt2が、p21の分解に必要であることを明らかにした。これらの結果Cdt1とp21は、S期の開始後、PCNAがクロマチンに結合するとCul4-DDB1-Cdt2系により分解されるといえる。これらの因子は、G1期で機能するが、S期が開始したのちは正確な細胞周期の進行には有害な因子であるので、PCNAによるこの分解制御は非常に合目的な機構であると結論した。
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