2007 Fiscal Year Annual Research Report
脂質膜上における分子構造解析法を用いたPIP3依存的細胞内情報伝達機構の解明
Project/Area Number |
18570184
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
辻 暁 University of Hyogo, 大学院・生命理学研究科, 准教授 (60227387)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
八木澤 仁 兵庫県立大学, 大学院・生命理学研究科, 准教授 (40192380)
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Keywords | シグナル伝逹 / 脂質 / 分子認識 / PIP3 / 分光法 |
Research Abstract |
脂質膜中のPIP3(ホスファチジルイノシトール3,4,5-三リン酸)へのSWAP-70の認識、結合の機構を脂質膜上において構造レベルで解析することを目的として、水溶液中および脂質膜結合状態において脂質膜結合蛋白質の構造を解析しうる分光学的解析法の確立を行った。解析手法として、固体NMR分光法と紫外共鳴ラマン分光法を用い、構造および生化学的情報が蓄積されているイノシトールリン脂質(PIP2)結合ドメインであるPLC-δ1PHドメインを対象として測定条件を検討した。PHドメインの機能上重要な位置に存在するTrpおよびTyr残基について、固体NMR分光法および紫外共鳴ラマン分光法による測定条件を決定し、測定を行ったところ、二種類の分光法による測定結果は、互いに相補的かつ矛盾の無い結果を与え、脂質二重膜上への局在により、PLC-δ1PHドメインのTyr残基にのみ構造変化が生じ、Trp残基は構造変化しないことが示された。また、個体NMR分光法により13C標識Ala残基を観測することで、脂質膜の組成、および膜の曲率が脂質膜上のPHドメインの構造に与える影響を残基ごとに解析しうることを示した。これらの測定条件および構造データをふまえ、SWAP-70PHドメイン(209-306)に関して、上記2種類の分光測定法に適した試料の調製および測定条件検討を行い、水溶液中およびPIP3を含む脂質二重膜ベシクル結合状態におけるその構造をAla残基(固体NMR)、TyrおよびTrp残基(固体NMR、紫外共鳴ラマン)をプローブとして観測し、PLC-δ1PHドメインの構造情報と比較解析し得ることを示した。分光学的手法によるPIP3結合蛋白質の構造解析の方法の確立は、脂質膜上におけるPIP3依存的情報伝達の過程を反応の?において観測し、その機構を蛋白質の構造レベルで理解する上で重要であると考えられる。
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