2007 Fiscal Year Annual Research Report
プロスタグランジンD2受容体を介した脂肪細胞の分化調節機構の解明
Project/Area Number |
18570187
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Research Institution | Osaka University of Pharmaceutical Sciences |
Principal Investigator |
藤森 功 Osaka University of Pharmaceutical Sciences, 薬学部, 講師 (70425453)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
裏出 艮博 大阪バイオサイエンス研究所, 分子行動生物学部門, 研究部長 (10201360)
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Keywords | プロスタグランジンD2 / 脂肪細胞 / 分化制御 / 肥満制御 / 分子生物学 / 転写調飾 |
Research Abstract |
脂質メディエーターの一つであるプロスタグランジン(PG)類が脂肪細胞の分化に関与していることが知られている。PGD_2を合成する酵索であるリポカリン型プロスタグランジンD合成酵素(L-PGDS)は脂肪細胞で発現しているが、その機能や制御機構については分かっていない。本研究では、脂肪細胞におけるL-PGDSの機能と遺伝子発現調節機構について検討した。 L-PGDSに対する特異的siRNAをマウスの脂肪細胞である3T3-Ll細胞に導入したところ、脂肪細胞の分化(脂肪滴の蓄積)は顕著に抑制された。また、L-PGDSの酵素活性阻害剤も脂肪細胞の分化を抑制したことから, L-PGDSは脂肪細胞の分化調節に関与していることが示された。次に、脂肪細胞におけるL-PGDS遺伝子の発現調節機構を調べた。その結果、未分化の脂肪細胞では、オーファン核内受容体であるLiver Receptor Homolog-1(LRH-DがL-PGDS遺伝子プロモーターの-233に存在するシス配列に結合し、L-PGDS遺伝子の発現を活性することが分かった。さらに、分化した脂肪細胞では、L-PGDS遺伝子プロモーターの-194に存在する2つのsterol regulatory elements(SREs)を介してL-PGDS遺伝子の発現が活性化された。L-PGDS遺伝子の発現は、核内受容体Liver X Receptor(LXR)の活性化剤であるTO901317の濃度依存に上昇した。また、ゲルシフトアッセイおよびクロマチン免疫沈降法により、LRH-1およびSREBP-lcがL-PGDS遺伝子のプロモーター領域に結合することが示された。さらに、LRH-1およびSREBP-1cに対するsiRNAは, L-PGDS遺伝子の発現を抑制した。以上の結果は、L-PGDSが脂肪細胞の分化制御に関与すること、さらに、未分化脂肪細胞ではLRHI-1によりL-PGDS遺伝子の発現が活性化され、分化した脂肪細胞ではLXRにより活性化されたSREBP-1cにより、L-PGDS遺伝子の発現が活性化するという新たな脂肪細胞分化調節メカニズムを示している。
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