2007 Fiscal Year Annual Research Report
ポリコーム群-GFPノックインマウスからポリコーム群複合体の構造と構築を理解する
Project/Area Number |
18570189
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
磯野 協一 The Institute of Physical and Chemical Research, 免疫器官形成研究グループ, 上級研究員 (90323435)
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Keywords | ポリコーム / 生細胞イメージング / 遺伝子ターゲティング / エピジェネティック抑制 |
Research Abstract |
哺乳類ポリコーム群は巨大複合体を形成し,標的遺伝子をエピジェネティックに抑制すると考えられている.しかしながら,そのメカニズムは未だ不明である.本研究では,数種ポリコーム群-GFPノックインマウス細胞の分子イメージングによってその抑制機構を理解することを目的とした. 1.免疫蛍光染色実験によりマウス胚線維芽細胞(MEF)の核内においてポリコーム群複合体は数百の球状構造体(直径~0.5μm)として反映されることがわかった. 2.MEFの生細胞動態観察から球状体は安定的に存在し続けることがわかった. 3.Phc2-CFPノックインマウス由来のMEFでは球状体が消失していた.そのMEFではポリコーム群の標的Ink4a-Arfが脱抑制しており,また,個体レベルではポリコーム群変異特有の背骨後方化異常を確認した.この結果は,球状体形成とポリコーム群抑制機能とに相関関係があることを強く示唆する.したがって,球状体は機能的抑制ドメインとして働いていると考えられる. 4.Phc2点変異ノックインマウスの作製とその解析により球状体形成はポリコーム群Phc2の機能に依存していることを示した. 以上のことから,ポリコーム群複合体は抑制機能を発揮するためには球状体構造をとる必要があることがわかった.そのメカニズムとして次のことが考えられる.ポリコーム群は標的遺伝子座上に集結し,複合体(コア複合体)を作る.さらに,この複合体同士はPhc2機能依存的に会合することで抑制機能を持つようになる.これにはクロマチンの高次構造変換を伴っていると考えられる.
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