2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18570190
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
森島 信裕 独立行政法人理化学研究所, バイオ解析チーム, 先任研究員 (40182232)
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Keywords | 筋分化 / アポトーシス / 細胞培養 / 小胞体ストレス / カスパーゼ |
Research Abstract |
小胞体ストレスは一種の細胞ストレスで、小胞体内腔を通過していく分泌タンパク質や膜タンパク質の構造形成にトラブルが起き、構造異常タンパク質が内腔に蓄積した状態を言う。その原因には分泌タンパク質、膜タンパク質合成の異常亢進、これらのタンパク質の構造形成や品質管理に関わる小胞体内タンパク質の機能阻害、小胞体内カルシウムの枯渇などがある。小胞体ストレスは神経変性などの病因の一つでもあるとされている。ところが小胞体ストレスが正常な筋分化過程においても発生し、カスパーゼ活性化とアポトーシスの誘導に関わることを、最近申請者らは発見した。この例では小胞体ストレスが正常な分化過程、胚発生過程に組み込まれていると考えられる。本年度は小胞体ストレスが筋分化にポジティブな影響を与えうるかどうかについて検討した。用いた実験系は培養筋芽細胞を貧栄養の分化培地中で分化させ、1週間ほどで筋管を形成させるものである。分化培地に筋芽細胞を移すと小胞体ストレスが生じ、数日間、アポトーシスが起こる。筋芽細胞を小胞体ストレス誘導剤で処理したものと処理しないものそれぞれを分化培地に移したところ、小胞体ストレスを与えられた場合にはアポトーシスが数倍亢進した。また、生き残った細胞の分化効率はコントロールに比べて明らかに高かった。これは分化誘導によって生じる小胞体ストレスを積極的に増大させることでアポトーシスと筋管形成の両方が促進されたことを示している。また、小胞体ストレスが筋分化過程において生死及び分化過程を制御する重要な因子であることを示唆している。
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Research Products
(1 results)